第5話:環奈さんのストーカー24時(休日ver)

(午前6:00)


 ピピピピピ、変態ストーカーが!!

 ピピピピピ、変態ストーカーが!!

 ピピピピピ、変態ストーカーが!!


 ガチャ!!


『智くーーん!! おはようのチューだよ!! チュ!!』


 私の休日の朝は先日、智くんの家に泊まりに行った時に録音していた"目覚まし智くん時計"のキスから始まる。


 私こと西村環奈は恋愛には興味がなく、告白されても断る日々を過ごしていた。智く〜〜んに出会うまでは、ウヘヘヘ!! は!! ダメダメ!! 気を沈めない、私!!


 1週間ほど前、私が下校している時に豪雨が襲った。最近の天気予報が当たらないことが理由で傘を持ってきていなかった。仕方なく、近くの公園に避難し雨宿りをしているところを智くんが傘と缶コーヒーを渡しに来てくれたときに私の中の頭のネジが外れてしまい四六時中、智く〜んのことを忘れることができなくなってしまったの!!それ以来、頭ではやってはいけないのは分かっているのだけれど体が勝手に智く〜んを追い回してしまう日々。はぁ…本当に私には困ったものだわ、フフフ……。


 私は身支度を済ませ智く〜〜んの自宅へ向かった……。






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(午前7:00)


 私がいるこの場所は智く〜んが就寝している2階のベランダ。智くんの部屋に入る為昨晩、部屋に忍び込み、事前に窓のロックを外しておいたの、プスプス……。これも恋する乙女のやむ終えない行為、神様……この罪深い女をお許しを……。


 窓の取っ手に手をやり開けようとしたのだがビクともしなかった。


 まさか、智くんに読まれていた!?!? しかーーし、この程度で引き下がる私ではないわ!!


 私はガラスカッターで物静かに窓ガラスに穴を開け、見事侵入に成功した。


 フフフ、智く〜ん甘いわね!!私が背負っているリュックの中には対智くん用の秘密兵器が用意されている。そう簡単に私から逃げ切れると思ったら大間違い。


 私ははゆっくりと足を歩ませ、智くんが寝ているベッドに潜り込んでほっぺにチューをした後、並んで一緒に寝た。





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(午前10:00)


 気がつくと、ベッドに両手両足を縛り付けられてアイマスクを被せられていた。私のすぐ横辺りに電話をしている智く〜んの声が聞こえた。


『俺の部屋です、はい!! ありがとうございます!! 』


 そこで智くんの声が止まった。


『智く〜〜んこれはどうゆう状況ですか?? まさか、ここで禁断のプ、プ、プレイを……。』


『黙れ!! クソビチど変態ストーカー犯罪女が!! お前の大好きなお巡りさんを呼んでやったんだよ!!』


『智くーーん!! やめてそれだけは、私と共に愛を育み……ぐぬぬぬ!!』


 く、口枷(くちかせ)までも用意しているとは!!

 ま、まさか、ほ、本当にここで!! さぁ!! 智く〜〜私の元へ……。さぁ!!


 ウゥゥゥゥゥ………………。


 こ、この忌まわしき音はイヤァァァ!!!! 私と智くんを離さないで!!!!


 すると、誰かが私と智くんの愛のお城に入って来た。多分、ポリ公だけど。


『すみません智さん。休日のなのにお部屋、失礼します。』


『それは、こちらの台詞です。この馬鹿のせいで休日出勤ご苦労様です。』


 ふがぁ……ふがぁ……。(ポリ公どっかいけ!!)


『この荷物は恐らくこいつの物です。一応渡しておきますね。』


 ふがぁ……ふがぁ……。(それは私の秘密兵器!)


『分かりました。たしかに受け取りました!!』


 ふがぁ……ふふんが!!(返せ!私のものだ!!)


 私は両手両足を外され代わりに施錠された。それでも必死に抵抗したが足首まで施錠されミノムシ状態になってしまった。


 ふがぁ……ほごぉ!!(触るな!! 変態!!)


『午前10:01分。住居侵入罪で容疑者を確保。直ちに署まで連行します。了解!!』


『さようなら〜〜。変態ストーカーさん!!)


 ふがぁぁぁぁぁぁ……。(いやぁぁぁぁぁぁ!!)


 そして、私は口と視界が塞がったまま警察署まで連行され厳重注意をされたのだった。






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(午後3:00)


 はぁ……。ようやく釈放された……。しかし、スマホとリュック以外、全て没収とは中々の痛手だわ。


 だからといって私が智く〜〜んを把握出来ない訳ではないわ!!


 私はスマホにあるGPSアプリをポチッと押した、


 フフフ、事前に智くんのカバンの中に発信機を仕込んで置いて正解だったわ。このGPSを使えば智くんが何処に隠れようが何処に逃げようが一目でわかってしまうの、は、は、は!! さてと智くんの居場所は……今はゲームショップにいるわね。


 待っててね、私のいとしの智くーん!!


 私は駆け足で智く〜〜んのいるゲームショップへと向かった。









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(午後3:30)


 はぁ…はぁ…はぁ……。


 やっと着いたわ。ここに智くんが!!


 すると、突然ゲームショップの入り口のドアが開き、智くんと1年2組の智くんの妹の千尋ちゃんが出てきた。咄嗟に私は電信棒に身を隠した。


『バカ兄貴が買ってくれたおかげで新作のFPSが出来るよ。ありがとう、バカ兄貴!!』


『バカ兄貴呼ばわりすな!! まぁ、俺もそのゲームしたかったからな。』


『ごめん、ごめん。いつもの癖でハハハ!』


 な、な、何で私といる時よりも楽しそうなの智くん……。まさか、智くんってシスコンなの!?

 毎日家にいる千尋ちゃんにとってはかなりのアドバンテージ。どうにかしなければ…………は!! 千尋ちゃんが手に持っていたあのゲームを極めて、千尋ちゃんと親密な関係になれば無断で家に侵入することなくゲームをする目的として智くんの家に入ることが出来る!! フフフ、妙案だわ。



 智くんと千尋ちゃんが何処かへ行った後に私はゲームショップに入り同じゲームソフトとゲーム機を買った。そして、再び智く〜〜んの追跡を開始した。








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(午後4:30)


 私は智くんと千尋ちゃんが入ったカフェに侵入し2人が向かい合わせに座っている壁越しの席でパフェを食べながら盗み聞きをしていた。


『たまには千尋とこうして2人で歩くのも悪くないな。』


『なに、なに、突然どうしたのバカ兄貴?? 私に惚れたの? 私はいつでも構わないよ!!』


 何ですって!?!? やっぱり智くんと千尋ちゃんは出来てるの!?!?


『千尋、なに冗談言ってるんだよ。俺がその程度の嘘で騙せると思ったか?』


 ふぅーー。凄く焦ってしまったわ。冗談だったのね。これで疑いも晴れたわ……。


『やっぱりバレたか……。バカ兄貴の癖に生意気な!! ハイあーん!!』


『また…バカ兄貴ゆな!! あむ!!』


 プゥパフェのか、間接キスゥゥゥゥ!?!? そ、それも智くんが、じ、自分から!?!? う、羨ましいーー!!!!やっぱり侮れないわ、千尋ちゃん!!


『ハハハ、ごめんごめん。また癖が出ちゃった。』


『まとそれかよ、千尋ーー!!』







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(午後5:00)


 いつまでカフェにいる気なの。もう少しで私の心が折れそう……。



『それじゃ家に帰って新作のゲームでもするか!!』


『さんせーい!!』


 ぐはぁ……。智くんと千尋ちゃんの嬉しそうな会話を聞くだけで拒絶反応が………。しっかりしなさい私!! 気をしっかり持って!! ヒィヒィふぅーー。









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(午後6:00)


 私は千尋ちゃんのベランダに侵入していた。何故なら智くんと千尋ちゃんゲームをしている途中に禁忌を起こさないか見張る為。だけど、一向に動きが見られないわ、ぐはぁ……。また拒絶反応が……。


『千尋、ちょっと1人プレイでゲームをしていてくれるか……。』


『ああ…いいよ。バカ兄貴。』


 智くんが立ち上がり自分の部屋に戻って行った。私もそれに合わせて智くんベランダに飛び移り忍者の如く見事着地に成功した。


 ふぅーー。私も手馴れてきたわね。この調子で自己ベスト更新…………………………………よ!?


 私の前にある智くんの窓が急に開き智くんが鬼の形相でこちらを見つめてきた。


『へ…ん…た…い…ストーカーがぁぁぁ!! ゲームショップのときから気配を感じてたんだよボケェェ!!』


『ぎゃぁぁぁぁぁぁ……………アアア!!!…ア』


 ウゥゥゥゥゥ………………。



 再び智くんにプレイではなく、拘束されて警察署まで連行された。









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(午後10:00)


 い、一日に2、2回警察署に監禁されるとは。し、新記録。と、とりあえず、智くんの寝顔動画を見なくては……。


 先日忍び込んだ時に撮っていた動画を再生しシャキーーン っと即座に復活した。 そう、これは私の能力、"智の癒し"である。これをすることでどんなに疲れていようとも即座に復活出来る最強能力なのです。


 早速家に帰って今日の調査分をノートに書きうつさなくちゃ!!!!







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(午後11:00)


 くぅーー!! やっと智くんノートを書き終わえたわ!!!! それじゃ今日、千尋ちゃんが買ったゲームを研究し極めますか!!



 私はゲーム機の初期設定を終えゲームを続けたのだった……。







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(午前2:00)


 と、取り敢えず全ての武器を解放して、突スナや腰打ち、動き方やマップをは、把握出来た……。


 そ、そろそろ、寝よう……。


 ゲーム機の電源を切り部屋の電気を消してベッドに這い蹲りながら入ろうとしたけれど途中で意識を失ってしまった…………。






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