第4話:コマンド選択!!オン!!
(午後6:00)
ドアが開き1人のお客さんが入ってきた。俺はマニュアル敬語を使い不自然な笑顔で挨拶をする。
『いらっしゃいませ〜〜〜〜。』
『いらっしゃいませ〜〜〜〜。』
『いらっしゃいませ〜〜〜〜。』
あれれ〜〜??? おかしいなぁー。いらっしゃいませが3回聞こえたような気がしたなー。俺の気のせいかな〜〜〜。すると、先程入ってきたお客さんが出て行く。
『ありがとうございました〜〜〜〜。』
『ありがとうございました〜〜〜〜。』
『ありがとうございました〜〜〜〜。』
このコンビニは2人制の筈だけどな〜〜。なんだろう、1人多い気がするな〜〜………………!?!?おい! 何でこのコンビニに変態ストーカーがいるんだよ!!!! 何でコンビニの制服着たんだよ!! 何で 研修生の名札つけたんだよ!! 俺は思わず真横にいる変態ストーカーに声をかける。
『あの〜〜環奈さん? 何であなたがこのコンビニにいるのかな〜〜?一応代理の店長なんだけど〜何も聞かされてないんだけどな〜〜。ねぇねぇねぇねぇ変態さん、教えてくれない変態さん???』
悪意があるような笑顔で、クソ野郎が俺をキラキラ輝く瞳で見つめる。
『昨日、智くんの家に泊まったときにね〜、智くんがたまたまトイレに行っているときにね〜、たまたま智くんのお父さんとバイトの話になってね〜、たまたまここで働くことになったのね〜。』
『そうか〜、そうか〜。たまたま俺がトイレにいるときに、たまたま働くことになったのか〜〜〜〜〜〜〜ぁぁあああ???』
って、何がたまたま働くことになっただ、ボケェェェ!! クソビチ女が!! 昨日の泊まりはこれが狙いだったのかぁぁぁ!!! 俺がいない間に親父に詰め寄り自分を採用させ、コンビニという俺のキャッソーールに入り込むための作戦。表ではお泊りを装い裏ではバイトになる為の目論見。あの程度で済むと思ってた俺が甘かった……。
すると、隣のレジにいる斎藤さんが俺たちに話しかけてきた。
『智くんと環奈ちゃんは仲がいいわね〜〜。付き合ってるの???』
すると俺たちは口を揃えて同時に
『付き合ってません!!!!』
『付き合ってます!!!!』
と矛盾したことを言った。
『あらら〜〜声もピッタリ!! 』
『からかわないでください斎藤さん……。』
すると、変態ストーカーが俺の腕を両手で掴みプニッとした胸を当て白い顔をスリスリする。
『もぉ〜〜智くんったら素直じゃないんだから〜〜。ほんと可愛い。』
俺は腕を払いのけ変態に罵声を浴びせる。
『よるな!! 変態ストーカー野郎!!』
自身のまぶたに両手を当て、あろうことか嘘泣きを始めやがった!!
『うえーーん。うえーーん。智くん酷い〜〜。』
『智くん、自分の彼女を変態ストーカー呼ばわりしたらダメじゃない。彼女を大切にしなさい!』
『斎藤さん、違うんですよコイツは彼女じゃなくて……。』
『つべこべ言わない!!』
クソォォ!! 変態ストーカーめ! 斎藤さんまでも自分の仲間に引き入れようとゆうのか!! このままでは俺の城が奴によって侵されてしまう。
そうこうしていると突然、斎藤さんがお腹を抱え悪魔の言葉を発する。
『ごめんなさい、智くん。急にお腹が痛くなっちゃったからトイレに行かせてもらうわ。』
『ええ!! 斎藤さんそれはちょっと……。』
斎藤さんは猛ダッシュでトイレに駆け込み声を掛ける間も無かった。
スァァイトゥゥスワァァァン!!!! 俺たち2人だけにしないでくれーー!!!! ぁぁあああ!!
何処からともなく、俺の脳内VR(仮)によって聞き覚えのあるBGMとコマンド選択表示が映し出された。
こ、このBGMは!! ターーン、タタタターーン、タン、タンタンタンタンタンタンタン 、この流れるような音色!!DQN(ドキュン)クエスト4の戦闘BGMじゃねーか。それに、この表示されたコマンド選択で戦えと言うのか!!
俺は変態ストーカーこと環奈に目をやると頭の上辺りに『デスストーカー』という名前が表示されていた。
奴に似合ったキモい名前だ。覚悟を決めろ俺、戦うしかない!!
俺はコマンド選択する。
えーと、攻撃は置いておいて呪文はえーっと??? ねーのかよ!! 特技は感知能力とすり足だけか。ここは一度逃げてみるか!! 俺は逃げるを選択した。
(しかし、デスストーカーの素早い動きによって周り込まれた!!)と表示がなされた!!
やはり、お約束の展開か!! 次は……………!?
(デスストーカーの先制攻撃!! 悪魔の抱擁!)と表示がなされ、環奈が抱きついてきた。
『智くーん、さぁお母さんの元においでー!!』
『キモい!! こんな、若い母親がいるか!』
(しかし、サトーシ王によって素早く避けられた!)
『オイオイ!! そこはコマンド選択するまで、待つところだろ!!!!』(驚き、戸惑っている)
『智くんは何を言っているのかな〜〜。智くんが作り出した設定なだけで私には関係ありませーーん!!』(デスストーカーは不敵な笑みを浮かべている)
クソコマンドがぁぁ!! と心で叫びながらコマンド選択表示を蹴り飛ばし粉砕した。
そして変態ストーカー野郎が俺に攻撃を畳み掛ける。
(デスストーカーの先制攻撃!!悪魔のキッス!)
『むちゅーー!!』
唇を突き出しながら俺に飛び込んできたが鉄拳をお見舞いした。
(サトーシ王の正拳突き!! 会心の一撃!!)
環奈は笑顔で倒れ込んだ!! って気持ちわり!
(デスストーカーを倒した!! 30の経験を得た)とかはどうでもいいから脳内VR(仮)もういいから、冷静になれ俺!!
一呼吸いれると、BGMと環奈の上のデスストーカーという表示が消え、トイレに行っていた斎藤さんが戻ってきた。
『あれれ? 環奈ちゃんどうしちゃったの??』
『バイト初体験だったらしく気絶したみたいですね! 一度環奈を連れて休憩室に行きますね。』
心配そうな顔で斎藤さんに見送られながら俺は変態ストーカーを休憩室へ連れて行った。
こうして変態ストーカーと俺は地獄のバイトを終えたのだった。
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