リアルとファンタジーの隙間

異世界トリップとか転生ファンタジーが好きで色々な作品を読みましたが、だいたい、いきなり異世界へ飛ばされたというのにたいして動揺もせず馴染んだり、行動原理が曖昧で、いきなりチート能力使いこなして、目立ちたくないといいつつ、馬鹿なの?というくらいなんの警戒もなくチート発揮するとか、キャラクター設定も似たり寄ったりな作品が多くて、これはそういうもの(ジャンル)だと割り切って読んでいたのですが、
この作品は一味違いました。
困窮した現実の前に、突然降って湧いた金儲けの手段、背に腹変えられず、大金に目がくらんで異世界トリップというわかりやすい行動動機。授かった能力も用心深くちゃんと検証、効率を求めて行動する。だれかを殺すことに躊躇と嫌悪があって、でも目の前の人を救いたいという義侠的精神もある。清濁併せ持った主人公の人間臭さがリアルでおもしろく、一気に読ませていただきました。場面がわかりにくい表現や誤字も愛嬌レベルだと思いますし、ありきたりな異世界ファンタジーを読み飽きた人にオススメしたい良作品です。

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(株)ダンジョン