2 魔女

 異世界、というよりは、異宇宙とも呼べる広大な別空間の存在が明らかになってから七百年。同じような空間がまるで葡萄の実のように、多元的に存在していることが証明されたのがおよそ六百年前。それらの空間に直接干渉できるまでに技術水準が向上したのが、今からおよそ二百年前。そして、その空間における任意の座標に転移できる装置の開発に成功したのは、ほんの二十二年前だった。

 辿り着いた宇宙には様々なものが存在したが……しかし、人類の予想を超えたものは存在しなかった。

 環境、生物、知能レベル、文化水準、言語や娯楽に至るまで。どこかで見たものを焼き写したようだった。

 収斂進化。

 結局、生命の生まれる環境など極めて限定的で、同じような星で同じような生命が同じような道を辿り、そして、同じような結論に辿り着く。無限の可能性を秘めたはずの多元宇宙においては眉唾だったこの現象が、確固たる結果を伴って証明されてしまったのだ。

「――それで、貴様が魔女の眷属ではないと、どう証明するのだ」

 目の前でこちらを睨み付ける、犬を擬人化したような二足歩行の生物を前に、ユーリはかつて習った多元宇宙論を思い出していた。偉い学者の皆様には、犬人間の存在など予想の範疇だったのだろうか。

 二メートル近い身長に、全身を覆う白銀の体毛。頭頂部には三角形の耳が二つそびえ立ち、鼻はそれこそ犬のように前に突き出していて、足は踵が大きく上に持ち上がっている。特徴は犬のそれにも拘わらず、しかし目には間違いなく、理性と知性の光が灯っていた。

 目の前の個体は恐らくメス、いや女性だろう。纏った鎧の上からでも、丸みを帯びたしなやかな体躯が見て取れた。

「……とにかく違う、違うんだ。俺はその魔女なんてのも知らない! 知らないんだ、信じてくれ!」

 口にした瞬間、鋭い蹴りが飛んだ。鉄の軍靴を履いた爪先が突き刺さる。ほんの四畳程度の狭い部屋に、湿った打音が鳴り響く。

 過たず脇腹を叩かれて、ユーリは泡を吹いた。

 ユーリは自分がどうやってここに入れられたかも覚えておらず、入れられて、どれくらいの時間が経ったかも分からない。いつの間にか、椅子にくくりつけられていた。

 始めこそ部屋に充満した、鉄の錆びたような臭気を不快に思っていたが、すぐに自分の内側から立ち上る同じ臭いに上書きされてしまった。

「ふざけているのか、貴様」

 銃創からの激烈な痛みに、何度も意識が飛びそうになり、そのたびに頭から汚れた水を浴びせられた。

「出身も、両親の名も、職業も、信ずる神の名さえ答えられずただ信じてくれだと? 虫がいいにも程がある。舐められているとすれば非常に不愉快だな、死なねば分からんか」

「ひっ、いや、嫌だ、助けて、殺さないで……!」

 血の混じった涙と鼻水と吐瀉物でぐちゃぐちゃに顔を濡らし、ユーリは引きちぎれんばかりに体を揺らして泣き叫んだ。

 しかし必死な命乞いも、ただ虚しく響くだけだった。


 どれくらいの時間が過ぎたのだろう。気付けば、ユーリは冷たい床を歩いていた。暗い石造りの通路を、鎧に身を包んだ男について進む。

 通路の左右には、頑強な鉄格子で蓋をされた小部屋が並んでいた。どうやら牢獄に連れてこられたのだなと遅い理解がユーリの頭に浮かんだ頃、目の前の男が足を止めた。

「おら、今日からここがお前の寝床だ」

 ボロ雑巾のように、ユーリは牢の床に放り投げられた。

 拷問の終わりに、死なないようにと治療は受けたが、それすらも酷いものだった。

 汚れた布での雑な止血、薬草とは言っていたが草の絞り汁での消毒、さらにはその絞りかすを傷口に詰められた後に行われた怪しげな祈祷。

 拷問の一環かといぶかしんだが、どうもそうではないらしく、至って真面目に、ユーリの傷を治そうとした結果らしい。

 科学よりもスピリチュアルに傾倒する文明なのだと理解はできたが、ユーリの苦しみは、間違いなく倍増していた。

「……助けて、頼むから……」

 全身を苛む激痛に思考は働かず、うわごとのように命乞いを繰り返す。両手は大きな木の枷で拘束されていたが、それ以上に精神的な苦痛からまともに動くことすら出来なかった。

 ユーリを運んできた牢番は、そんな彼の姿から視線を外すと、壁により掛かって忌々しげに舌打ちをした。

「ま、今日の所は頑張って眠るんだな。しっかり治療も受けてりゃ、生き延びてここから出られる日が来るかも」

「ち、治療……?」

 びくりと、ユーリの肩が震える。

 冗談ではない。これ以上傷口に草など擦り付けられたら、失血か感染症か、今度こそ死んでしまう。 

こんな不衛生な場所で根拠も不安定な医療行為など、ユーリにとって正気の沙汰とは思えなかった。

「ち、治療はいらない!」

 這々の体で格子を掴み、叫んだ。

「おいおい、頭いかれてんのか。ちゃんと医者に診て貰わねえと」

「自分で、自分でなんとかするから!」

「……は? 自分でってお前、医者なのか?」

「違うけど、なんとか出来るから。綺麗な布と、水と、針と糸さえあれば自分で――」

「針と糸……?」

 牢番はそこで、明らかに雰囲気を一変させた。そして素早く踵を返すと、牢から離れユーリの視界から消えていく。

 あまりに唐突な牢番の行動に、ユーリは呆気にとられ、そして直後、震えが走る。

 何か、まずいことを言って機嫌を損ねてしまったのだろうか。今すぐにでも殺されるイメージが強烈に脳裏をよぎる。

 あまりに鮮明な想像に、短い悲鳴が口の端から漏れ出て、ユーリはボロボロの体を半ば無意識に、牢の奥へと引き摺っていった。

「おい」

 気が付けば牢番が格子の向こうに立っていた。手にした鍵で、牢の扉をがちゃりと開く。

「出ろ」

 ほんの短く吐き捨てるように言うと、牢番はこちらに背を向けた。

 先ほどまでとは打って変わった、冷たい口調。吐き捨てるような短い言葉に、ユーリはどこか、彼が自分と話すことを恐れているような気配を感じた。

 逆らう意味はない。ユーリはふらふらと立ち上がり、扉を出る。牢番はこちらを一瞥もせず歩き出し、来いの一言も発さなかった。

 もはや壊れて機能しない行動スーツは防寒着にすらならず、奪われた装備の暖かみが恋しい。冷たい石の床を裸足で踏みながら、ユーリは両手に息を吹きかけた。牢番は振り返らずに歩き続ける。

 オイルランプの明かりだけが照らす暗い牢獄を抜け、突き当たりの扉を開く。牢番達の待機部屋だろうか、扉の向こうで数人の兵士が、机の上に広げられたカードの前に座って、首だけ回し怪訝そうにこちらを睨み付けていた。

 驚くことに、その部屋は目的地ではなかった。尋問や拷問、処刑の為の部屋があまり上の方にあるとは思えない。だが牢番は躊躇わず、狭い階段をいくつも上り、迷路のように複雑な通路を進む。

 やがて、採光窓や燭台といった光源が辺りを照らし始めた。窓から外を見るに、今は夜のようだ。

 床には絨毯が敷かれていった。絨毯の毛足は徐々に長く、足の裏に優しくなっていく。

 ――地獄への道行きも、案外と綺麗なものだ。

 すっかりと卑屈になっているユーリは、豪奢な装飾の施された大きな扉の前に立たされても、その奥にギロチンが待っているイメージしか浮かんでいなかった。

「入れ」

 牢番の声に、両開きの扉が音を立ててゆっくりと開いていく。半ば吸い込まれるかのように、ユーリは部屋の内側へ一歩を踏み出した。

 牢獄からすれば、それこそ天国と言って過言のない部屋だった。無数の調度品は煌びやかに、しかし決して主張しすぎず。豪華さよりも、調和と品格を表しているようだった。

 そして暖かい。正面には大きな暖炉がごうごうと、楽しげに燃え盛っている。

 そんな空間の中に一つだけ、ユーリの瞳に異様なものが映っていた。扉から入って左手方向、この部屋で最も目を引く大きな机の前。

「よぉく、来てくれたねぇ。さぁさぁ、そこに掛けてくれたまえよ」

 アンティーク調のシックな椅子にだらりと座る一人の女が、ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべていた。

 ユーリは言われたとおり、彼女の机の前に無造作に置かれた、一人用のソファに腰を下ろす。ただその間も、彼女から目が離せなかった。

「あたしはメリダ。――魔女さ」

「……魔女」

 メリダと名乗ったその女は、少しもったいぶるように、目元を歪めてそう言った。

 なるほど確かに、女はそう呼ばれてもおかしくない外見をしている。不健康の権化、とでも例えると適切だろうか。

 長い黒髪はボサボサで、幽鬼のように痩せ細り、肌は青白く血の気がない。そして目の下には、どれだけ起き続けていればここまでなるのだろうと不思議なほどに、大きく濃いクマがくっきりと現れていた。纏う優美な紫のドレスも、どこか毒々しく見える。

 年の頃はユーリと同じくらい、十代後半から二十そこそこといったところか。しかし顔に張り付いた不健康さが、その辺りの判別を格段に難しくしているのは間違いなかった。

「おい、君ぃ。あたしはこれと大事な話があるから、外してくれ」

「……こいつは罪人ですよ? 二人きりになるなんて」

 メリダがユーリの肩越しに声を掛けると、扉の横で待機していた兵士が眉をひそめる。

「おや、おやおやおやおや。あたしの言うことが聞けないのか。ありがたい、今夜の会合での話題が一つ増えるよ……ねえ、ハインツ君」

 兵士の名前だろうか。それが出た途端に、彼はばつが悪そうに唸ると、そのまま部屋を出て行った。

「悪いねぇ、どうにも躾がなっちゃいない。犬なら犬らしく、お上に尻尾振ってりゃいいっての」

 ねっとりとしたその声色は、どこか楽しそうだった。

「……俺に何の用、ですか」

 へりくだるべきか、どうにも迷う。

 文明の程度的には身分制度が絶大な影響力を持っているはずで、今のユーリは人権すらも持たないただの罪人だ。目を合わせる行為すら不敬に値しかねない。

 彼女の身分がどの程度のものなのか。

 俗語を交えた品のない言葉遣い、酷くだらけきった姿勢、それらはとても身分の高い人間には見えなかった。少なくとも、王族や貴族、といった雰囲気は持ち合わせていないように思う。

 もし、そういった文化が生物の進化と違って、こちらの想像と全く別の道を歩んでいた場合は……もはや、どうしようもない。運だ。

 とにかくユーリはできるだけ、頭を上げないように努めた。

「そうそう、君、欲しいものがあるんだってねぇ」

「ええ、まあ……」

 答えに窮す。どう返せば正解なのか全く分からない。

 牢番に対しては、いい印象を与えたとは思えない。恐らく彼の、もしくはこの世界の文化や風習を読み違えていて、かなり奇妙なことを口走ってしまったのだろう。

 とはいえ目下の問題は、この女だ。明らかにまともではない。言葉の選択如何によって処刑台直行となってもおかしくはない。

 そうして数秒、ユーリが口を開けずにいると、メリダは余計楽しげに目元を細め、けけけと妖怪もかくやに笑い始める。

「なぁにをそんなに警戒しているのやら。あたしは君と仲良くしたいだけだってのにねぇ。だって、君の望み通り、針やら糸やらを用意してあげたんだから」

 そう言って、彼女は一つの木箱を机の上に放り投げた。目で促され、ユーリはゆっくりと箱に手を伸ばした。

 中には、鉄製の縫い針が十数本と、うっすら青みがかったしなやかな糸玉が五つ入っていた。

「傷口を縫い合わせるなんて、頭おかしいんじゃねえの! ……なぁんて散々言われてきたけど、まさか請われる日が来るなんてねぇ」

 しみじみと呟きながら、メリダは手慣れた手つきで足下から大きな鞄を取り上げると、ゆらりと立ち上がった。不健康さは相変わらずだが、その頬に、先ほどまではなかった赤みが差しているように見えた。

「ほら、さっさとその変なの脱いで横になりな。なぁに、針は火で炙るし、糸はアオハ蝶の繭から紡いだものだ。問題ないだろう?」

 そのままつかつかと、彼女は部屋の中央に向かい、鞄の中から様々な道具を広げ始めた。そのどれもが極めて原始的ではあったが……しっかりとした、医療器具の体を為しているように見えた。

「その、道具は……」

「心配って? なぁに、気にするな。あたしの手に掛かった患者の数割が、今も生き残っている――ああ、そうだ。これ飲んどきな」

 そういって、メリダは小さな薬包をユーリに投げ渡した。

「飲むって……これが何か、聞いても?」

 開くと濃い灰色の、粒の粗い粉が入っていた。鼻を近づけると、うっすら泥のような異臭が漂う。

「傷薬だよ。それ飲ませるようになってから、傷の治りが早くなった。ま、苦しんで死ぬ奴も増えたけどねぇ。部屋の隅に湧いたカビを集めて、増やして、油に入れたり何なり色々やって――」

「まさか」

 抗生物質。事も無げに語る割に、やっていることは明らかに文明のレベルからかけ離れている。

 ユーリの頭に浮かんだのは疑念だった。

「これ、どこで作り方を?」

「どこって、適当適当。とにかく何でもやったのさ。手当たり次第に色々使って、色々作って。いろんな患者に飲ませて回って。効果があったのを使ってるってだけ。ま、おかげであたしは魔女扱い。この城に招致されなきゃ、今頃は首が飛んでたかもねえ」

 ケタケタと軽く笑ってみせる。

 あり得ない、と大声を上げそうになったが、そもそもここは未知の世界だ。そういったこともあるのかもしれない。

 それよりもまた、魔女。拷問を受ける中で、幾度も聞いた言葉だった。ユーリとしては、自分がその眷属だと疑われている以上、気にせざるを得ない。

 しかし、詳しいことをメリダに聞こうと思ったところで、

「ほれ、さっさと準備しな! 治療始めるよ!」

 余計なお喋りに嫌気が差したのか、細腕からは信じられない力でユーリは床に押し倒されていた。

「ちょ、ちょっと待って――」

「待たん」

 木切れを口に突っ込まれ、噛まされる。

 嫌な予感。ユーリは次に来るものを予想して、全身を硬くした。

「おーおー、薬草なんて突っ込まれちゃってぇ。頭の固い馬鹿共が、患者殺す気かっての」

 ずぶりと、メリダの指が傷口を抉った。どうやら、麻酔の発見はまだだったようだ。


「はー、魔女を知らない。君はあれか、狼か猿にでも育てられたのか」

 ある意味で拷問をも上回る荒療治を何とか乗り切り、息も絶え絶え尋ねたユーリに、メリダは胡乱な目を向けた。

「いや俺はその……外国、外国から来たんだ、うん」

「ふぅん」

 ユーリにしても苦しい言い訳だったが、メリダは特に追求しなかった。単純に興味がないのか、どういう心境なのかは分からない。

 ようやくまとも、かどうかは判断が難しいが、先ほどまでよりはよほど上等な治療を受けて、ユーリは何とか一息ついていた。未だに地獄のような激痛は体を蝕み、精神的にも参っていたが、気分は悪くない。おかげいつの間にか丁寧語を使わなくなっていたが、メリダはやはり、それを気にしなかった。

「ま、端的に言やぁ、魔女ってのは魔物を使う人間のことさ。意のままに魔物を操って、善良な市民を襲う邪悪の化身」

「え、魔物?」

 突拍子もなさ過ぎて、ユーリは思わず聞き返す。

「へぇ……そこで驚く。魔女はともかく、魔物なんて世界中にいるんだから、知らない人間なんていないはずだけどねぇ。外国で別の呼ばれ方をしてたって、察しくらい付くだろ?」

 メリダは頬杖を突き、目を細めてユーリを見た。下手な嘘をつくな、つくならもっと上手くつけ。そんな風に怒られているかのようだった。

「……俺がいたのは、小さな島だったんだ。小さな島の小さな村の出身で、どうせ誰も知らない場所だから」

 だから拷問の時に出身地を言えなかった。だから魔物なんてものも存在しなかった。

 ユーリが選んだのは、嘘をつき続けることだった。何かを察せられているにしろ、本当のことを言うのは得策とは思えない。

 ユーリは咳払いし、なるべく視線がぶれないように努めた。

「小さな島ね。まぁ、そんな天国みたいな場所があってもおかしくはないか。とりあえず信じよう。どうでもいいしねぇ」

 じゃあそんな目を向けるな。言いたかったが、ぐっと飲み込む。

「だから、俺は自分のいた島に帰りたいんだ。でも、地理はさっぱりで、ここからどの方角に島があるのかも、分からない」

 ユーリは、奪われた自分の荷物の中に、島の位置が示された地図があると説明する。

 一割くらいは本当のことだった。

 今回の任務に関する情報の入った、情報端末PDA。今のままではそれこそ自分の居場所さえ分からないが、端末さえあれば地磁気から緯度経度を割り出し、惑星内のどの地点に立っているかがミリ単位で計測できる。

 そして、この星のどこかに設置された任務拠点の位置も判明する。

「俺は、何が何でも、元の場所に戻らなきゃいけないんだ。だから、地図がいる」

「……ふぅん」

 元の世界で何が起こったのか。今、どうなっているのか。それを知る術がない以上、ユーリは絶対に、元の世界に戻らなければいけない。

 ステンや同じ隊の皆は、今頃無事でいるのだろうか。もしかしたら、同じくこちらに転移してきているかもしれないし、向こうの世界で窮地に陥っているかもしれない。

「で? 何が言いたい」

 ニヤニヤと、メリダは不気味に口元を歪めている。心底、人の弱みが好きな人間の表情だった。

「手を、貸して欲しい」

 それは賭けに等しい提案だった。乗ってこなければ終わり。今の時点で打つ手はない。

「あたしに裏切れと? 魔女呼ばわりされて、処刑間近だったあたしを救ってくれたこの国に、仇を返せと?」

 ユーリはじっとメリダを見た。

「そんな殊勝な人間じゃないだろ、あんたは」

 この短時間でユーリが分析した彼女の性格は、享楽主義者だ。楽しければ何でもいい。未来や過去などどうでもいい。そして、「忠義」などという言葉とは、ほど遠い。

 暗に、お前は社会具適合者なんだから、と言葉を投げるのは、人としてどうなのだと自分でも思ったが、

「いいよ」

 あっさりと、メリダはうなづいた。

「あたしは王族に顔が利く。それ以外にゃ煙たがられてるが……ま、あたしの言うことを無視は出来ない。脱獄には、うってつけの人材だぁねぇ」

「ああ、そこを見込んでの頼みだよ」

 今日一番の不気味な笑みを、メリダは浮かべた。

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果ての世界のモノクローム はろ @harokeeee0425

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