年下男性と年上女性の恋愛ものはかなり珍しいと思いました。
静かに踊るような文体でうたわれる物語は、どこか空虚で冬空のような感傷が感じられました。すべてが「貴女が欲しい」に輻輳していく主人公の言葉は静かな狂気と正気の際に立つ心象がうかがえます。主人公の心に彼女の姿は刻まれましたが、人目にさらされない彼女の小説に主人公が描かれたのはきっと確かなのだとおもいました。
以前Twitterでお見かけしてから、一目見て読みたくなってこの度読ませていただきました。どうしようもないくらい大好きだけれど、決して叶うことのない恋。どうすることもできないけど、それでもその人を愛さずにはいられない。そんな葛藤が美しく描写されている作品だと思います。
手の届かない相手を好きになる。 そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。 この主人公の場合は、10も年上の人妻。 子供の自分にはどうすることもできない恋。 そんなもどかしさをストレートに描いた名作です。
彼女のあの目が、仕草が波間に浮かぶたびたまらない気持ちになる。そんな想いが、ひしと伝わってくるような胸せつなくなる作品です。