エクストラ・リスト -最後のページ-
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ボクはつけ忘れた日誌の空いた日付にあった事を思い出しながら、その空いたページを埋めていた
「これで・・・、いいかな?」
あの時の後遺症で記憶は酷く曖昧で、タイトルも適当だけど、これでいいはずだ。どうせ誰も見ないんだし
「月か…」
彼女と居た世界にあった蒼い月はもう無い、代わりにボクの良く知る小さな白い月が夜空に浮かんでいる
「彼女も…、夢だったのかな」
ボクは砂浜に寝転がり、夢うつつになりながら月を見上げていた
「ウサギさん!」
「え?」
不意に聞こえた声に振り返ると、そこには彼女が居た。ボクはいつのまにか寝てしまったのだろうか?
「あの星の影がウサギみたいな形をしてるから…、うさぎさん」
そう彼女は照れ臭そうに言っている。僕は夢と現実の境界のような世界に居るような感覚で、曖昧に答える事しかできないでいた
「そうか・・・」
「なにを書いてたの?」
「日誌だよ」
「私も書く!」
「私?」
彼女の言葉に首をかしげていると、彼女はほほを膨らませ、すねた表情で言った
「キミが変だって言ったんじゃない・・・・」
「言って無いよ」
「そんな顔してた!」
彼女は僕から日誌を取り上げると、ページをめくり空いたスペースを確認するがそんな物は無い
「ここでいいや」
「あ」
彼女はむきになり、表紙になにやら書き始めた
「ボクも…、裏の方に今の出来事を書いておくか・・・」
たとえ夢でも良いから、今のこの時の出来事を書き残しておきたい、そう思った
――不可思議な世界で彷徨うボクは―― 軽見 歩 @karumi
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