第2話 変身ヒロイン vs 天然ヒロイン(1)

終礼が終わって席を立とうとしたそのときだった。


教室のドアがひしゃげる勢いでスライドしたかと思えば、


「せんぱい!!!」


つかつかと入ってきたのは、今朝の通学路で出会った少女、まなだった。


「この教室であってましたね!終わるの待ってたんですよ!」


小さな両手が俺の机に、ばん、と置かれる。


「はやく行きましょう!!せんぱいが言ってた!!」


目に黄色い十字を浮かべて飛び跳ねる、そんな彼女の目線の高さは、椅子に座った俺と大して変わらない。それにしても、


「お前、中1だろ……?よく高3の教室にずけずけと入ってこれるな……」


帰りがけの女子たちがヒソヒソ声でささやく。


「えっ、中1……?」

東堂とうどう君って、部活とか入ってないよね……?」

「ってことは、うわぁ……。そーゆーシュミなんだ……うわぁ……」


ちょ、違うっつーの!おい待て、誤解を解こうともせずにドアをそっ閉じすんじゃねぇ!!!


「はぁ……」


たしかに表向き、俺は部活に入ってない。表向きは、だが……。


そのときまた、教室のドアがひしゃげる勢いでスライドしたかと思えば、


「……なにこの子?」


長い黒髪をなびかせた女子が、目に黄色い十字を浮かべて飛び込んできた。


「かーわーいーいーーー!!!」


「むぎゅぅ」


まなの上半身を容赦のない締め付けが襲う!!


「……たすけてください、せんぱい」


やれやれ、俺のお株を奪ったまなですら、には太刀打たちうちできないようだ。

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火焔RAIDERマナ ~日朝町は今日も平和です~ 三笠利也 @toshiya_mikasa

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