ドッペルゲンガー

安物の香水の匂いの淫靡さ

堕ちて行くことへの誘惑

そして

決して堕落へとは至らない狡さ


人生の残り時間を思いながら

素晴らしい過去を思い出そうと腐心しながら

薄れて行く記憶が恨めしい


あの時、歯車が狂った

そう、あの朝


ベットから起きようとした私は

布団を取った

しかし、布団はラッキョの皮のように

何枚も何枚もあって

いくら布団を取っても汗が出るだけだった


ふと横を見ると

すでに服を着替えて

鞄を持った私が、私の方を向いてほほ笑んだ


ドッペルゲンガー


私は震えた

どちらが本当の私だったのか


その時から、秀才だった私はいなくなった

別人のように学習能力がなくなり

別人のように病に落ちた


あの私は今、別の時空で生きていいるのだろうか

それとも、あれは、ただの夢だったのだろうか

あの時、何が起こったのか


偶然とは時に過酷である

それは、怠惰への言い訳なのだろうか


責めるなよ

きっと最善を尽くしてきたんだ

いくつの時空に

何人の私がいようとも

それはもはや私ではないのだ


ドッペルゲンガー

ドッテンバッタン

それは今も、私の中にある


*15 ドッペルゲンガー:自分の姿をした第3者を見ること。その深い意味は調べていただきたい。

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