第2話

車を走らせる。ゴミゴミした街から次第に閑静さが増し、どこともつかない山道へ。対向さえ厳しいような道、

そこにある少し山を踏み入れた脇道に車が止まる。

環境調査員、そういった風貌の男二人が降りてくる。

ポンポンとトランクから投げ出される

ゴミ袋。

「はい、自然に還ろうなー。」

男が内容物を取り出し、液体をかけると少しずつ、溶け始める。

「ごわっ!これ!くぬっ、きっつい臭いですねー。大丈夫ですかこれ。」

もう一人、少し若そうな男は悶えながら後に続く。無駄口を叩くなと叱られながらこなしていく。

彼らは何をしているか?

簡単なお仕事です。


【解体した死体を溶かして土に還す】


時給は1200円、福利厚生なし、交通費はあり。

無縁仏の増加に伴い、火葬場が対応に困る、だからといって埋めるわけにもいかず、後処理に困る。また、弔えない理由のある遺体の依頼など様々な案件が増えていき。

そこで、人知れず処理する方法としての裏方仕事。葬儀屋でもなく、拝み屋でもなく、いわば溶かし屋。

こうやって、数件を回って手頃なポイントで自治体の作業のように振る舞い、こなす。

それぞれのことはわからない。誰がどこでどう当たっているか。

誰にも知れず、誰にも知られず。

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無情門 @dhc

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