きらめく海の妖精
・・どれ程深く眠ったのだろうか。気がつくと俺は小さな島の真ん中にポツンと横たわっていた。平和な静寂と太陽の光に囲まれながら、俺はこんな事を考えていた。
そもそも、生き物というものは全て孤独なのかもしれない。俺は俺でしかいられないし、アイツらはアイツらでしかないのだろうからな。
誰もが「自分にしか見えない景色」を見ているのだろうし、俺も「俺だけにしか見えないオリジナルの景色や世界観」を持っているのだろう・・
喜びや笑顔を他の生き物達と分かち合う事が出来ない今の俺だからこそ、無理矢理に孤独を美化しようとしている所はあるのかもな。
アザラシも、思考能力は人間と変わらないんだぜ・・いつか人間と動物が一緒に・・
そんな事を考えていたその時、俺はふと目の前の海の中で虹色に輝く光を見つけた。
(この光は何だ?!今までに見た事のない色だ。)
じっと見つめているとあまりにも眩しいので、何度か目を逸らして、また見る事を繰り返しながら・・
煌々と輝きを増していく虹色の光から目をそらす事が出来ずにいた。
光の輝きが落ち着いてきた頃に、ハッと気が付くと目の前には・・
30センチほどの大きさで山吹色の、鳥の姿が見えていた。
状況を理解できずに戸惑っている俺に、その山吹色の鳥は優しい目をして語りかけた。
私の息子がアナタとの出会いを待っている・・と。
鳥はその後姿が見えなくなった。
(今のは何だったんだ?!)
しばらく呆然としていると、消えたと思っていた光の渦は次第に大きくなっていき、抵抗する間もなく、その渦の中に俺の体が飲み込まれて行くのを感じた。
アザラシとインコの旅路 ユキ吉 @yukiribbonbird2
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