海を泳いで遠い島国へ
誰も居ない夜の暗闇の中、前だけを見て俺は長い距離を歩き続けた。今までこんな距離を歩いた経験がなかったので、ひどくくたびれてしまって、一休みしないといけないなと思っていた頃だ。
辺りが明るくなってきた。
夜が明けた時、俺の前には大きな海が見えてきていた。
俺は海辺に向かって歩いていたんだ。
本能的にアザラシは泳げるものなのだと、誰かが言ってたのだが・・俺は泳げるのだろうか?!
試してみよう!!まずは浅いところからだ!!軽く泳ぐ練習を何回かしたら、俺は泳げるようになった。アザラシの本能みたいなものか?息つぎも完璧だ!!
自分自身に感心しながらも、恐怖は頭の片隅から消えずにいる。
海は様々な危険があると聞く。しかし俺には目の前の大海原と、遠くに見える小さな島国らしきものしか見えていなかった。
俺はお腹が減っていたので小さな小魚を捕まえて食べた。
(これが自然界か・・)
(海の中で生きていくのではなく、人間といつか対等に会話がしたい。方法はわからない。)だけど俺は旅をして自分の居場所を見つけようと決めたのさ。
俺は青い海に飛び込み、必死に遠目に見える島国を確認しながら、そこを目指して力の限り泳いだ。
無我夢中で泳いでいたら、疲れてしまった。途中で休憩できるようなスポットを見つけたので、今日はここで休憩して朝を待つ。小さめの無人島のようで、人間も動物も住んではいなさそうだ。
生まれて初めての孤独を味わった気分になった。イルカの親子が俺の前を通り過ぎてゆく。
自然界は、とても厳しい。俺は人間に育てられたからか、人間と対等に会話がしてみたいという気持ちが強い。
船に乗った人間達が俺の横を横切る。
俺の事など誰も見向きもしなくなった。
それはそうと、この場所はとてもいい場所だ。海に浮かぶ小さな島。ゆっくり今夜は眠れるだろう。
そう思った俺は、ヘトヘトになった体を柔らかい砂地の上に横たわらせ、今にも途切れてしまいそうな意識を素直に途切れさせる事にした。眠気に身を委ね、そっと目を閉じたのであった。
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