小さめのアザラシ
ルーイという名をつけてくれて俺を育ててくれた、この家族ともお別れだ。俺は捨てられたのだ。
俺の体は50センチほど。そろそろ大人になるというのに、とても小さいのだ。
他のアザラシと比べて俺はミニチュアな体をしているのだ。
色々考え事をしているうちに、フローラとリズが眠りについた。
今夜は眠らずに起きているつもりだ。
人間の言葉がアザラシに理解できないと思っているのだろうか。それは人間の思い込みで、俺は人間の言葉を話すことは出来ないが、人間の言葉を理解する事は出来ていた。
俺は全て聞いていたんだぜ。
俺は捨てられたのだ。生まれ育った家をもう少しの間だけ懐かしく思う事をしたら、最後だ。後ろを振り向かずに、旅立とう。
フローラとリズが今まで俺に優しくしてくれた事を思い出すと苦しくなる。俺はもう誰も信用しないぜ!!
・・さようなら。俺は当てもない旅に出る。
明日の保証もなければ生きていく自信もない。それでも俺は行くのだ。
フローラとリズの寝顔に別れを告げた俺は、まだ暗く音のない闇の中を歩き出した。
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