生きるための母娘の決断
俺は村で一番の人気者だった。物珍しさもあってか、村の住人は代わる代わる俺を見に来ていたし、フローラとリズには可愛がってもらえてたんだ。ただ、
フローラは体が弱く外に出て働く事が出来なかったので家の中でマフラーや手袋を作っていたのを俺は見ていた。夏には麦わら帽子を作っていた記憶がある。
内職をしてリズを育てていた。その時もギリギリの生活だったのに、国王が法律を変えたせいで俺がいる事で税金が2倍に上がったため、このままてまは生活出来なくなってしまうとフローラは判断したのだった。
体が弱いのに働く量を増やしていったフローラは、寝る間も惜しんで働いた。
それでも生活は楽になる事は無かった。
ある日の事だ。いつもと変わらないはずの満月の夜に・・
「母ちゃん大丈夫?最近ずっと顔が青白いよ。」とリズはフローラに話しかけた。
フローラはその質問には答えずに、無表情ながらもうっすらと笑みを浮かべ、うつろな目をしながら
「ご飯にしましょう・・リズ。ごめんね。お母さんのせいで。でもね、明日ルーイを売りにいくから、そのお金で明日は贅沢しましょうね。」
リズは驚いた表情をした後、うつむいたままだったが、しばらくすると顔を少し上げ、ゆっくりと何も言わず頷いた。
俺は・・栄養が足りなくなると人はこのように変わってしまうのか。と怯えた。俺自身の餌もかなり少なくなっていたし、もう俺はここには居られない事を悟ったのだった。
(しかし俺を誰に売ろうとしてるんだ?!)その瞬間俺の中で悲しみが生まれ、やがて親子への怒りへと変わっていったのだ。
(明日までに俺は・・)
ルーイは育ててもらった家と国を捨てて、あてもない旅に出る事を決意したのであった。
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