最終話 触手だからって安らぎの日々を送れないとは思うなよ


 俺が自宅で本を読んでいるとだ。珍しい客がやってきた。


「久しぶりだな。ブレン」

「元気そうだな触手も」

「ほら、挨拶なさい」

「ちょくちゅのおじちゃん、こんにちわー」


 エウロパと二人の娘も来てくれたのか。しかしエウロパの要素濃いなこの子。髪の毛の色とか顔とかおんなじじゃねぇか。ブレン要素息してない。ちゃんと言えないのが、またかわいいな。


「やあ、こんにちわ」

「触手も丸くなったね」

「そういうなよ」


 後ろから小さい触手がやってきた。俺の子だ。


「うちの嫁も帰ってきたな」

「こんにちわ、はじめまして」


 エウロパのその言葉に、嫁が黒板に書いて返答する。こんにちわと。普通の触手は喋れないからな。知性は高いので、文字が覚えられるというのは大きかった。


「こうやってみると、湖の賢者の名は伊達じゃないね」

「最低でも人間並みの知能はあるからな」

「俺より知能高そう……」


 ブレンはもうちょっと自分に自信を持てよ。ブレンのブレンも復活してんだから。


「あれから随分経ったね」

「そうだなぁ。お前らすぐ子供できたしな。一撃必中だったんだな」

「うん、まぁね……」

「しかし触手があっさりつがいになるのは意外だった。お前もっとモテないイメージだったからな」


 何気に酷いぞブレン!たしかに旅してた時僻んでたからなぁ。……どちらというとうるさくてねれなかったのが大きい。


「おうそうだ。始祖たちも子ども出来たらしいぞ」

「しかも双子だって!見に行ったけど超かわいい!」


 良かったな。あれだけ頑張ってたからな。数十年頑張ってたと聞くと、うるさいのもさておいても良かったというしかない。


「みんな親になったのか……」

「そうだね。実感薄いけどね。そうそう、ラコクオーもファブリーも子どもいるって!」

「あいつらもかよ。頑張りすぎだ」


 ちょっとびっくりだ。あの紫ゴブリン被害者の会は親の会になっているとは。


「レナードとソフィアはどうなったんだ?」

「ソフィアは、宇宙に旅立ったって。前のように無理に強要するのではなく、自分の選択でソフィアの仲間になるかどうかを決めて貰うって」


 エウロパはどこからその情報聞いたんだよ?レナードか?ブレンが思い出したようにいう。


「どこか別の星を目指すって言うけど……なんか数千年かかるらしいぞ。ソフィアがたどり着いた時には俺たちは死んでるな」

「そうだね。でも、ひょっとしたらぼくたちの子孫は生きてるかもね」

「なるほどな」

「レナードは塔を相変わらず守っているようだけど、塔を使えるようにしようとしているな。人類が再び宇宙を目指せるようにだと」


 それぞれの決着が付いたのか。しかしソフィアがあそこから落ち着いてくれるとは思わなかったな。どうやら宇宙を移動する際に何かに感染したかもしれないという。性のシステムがないというのはそういうリスクもあるということになるのか。


 俺の子どもとブレンの子どもが一緒に遊んでいる。今度は俺たちがブレンのところに遊びに行くのもいいかもしれない。子どもたちが遊んでいるのを、俺たちはいつまでも暖かく見つめていた。


 -完-





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触手だからって女の子とHしたいと思うなよ とくがわ @psymaris

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