攻撃の起点! ハイポストオフェンス
ハイポストの有用性は拙作「ファイトオーバー!」でも久我絵理香嬢が説いています。まだ読んでない人は読んでください(PV乞食)
ハイポストはローポストと同じく、ポストプレイの一種です。
ゴールに向かってコート奥側の位置を「低い」、手前側の位置を「高い」と表現する事はローポストの項で説明しました。低い位置のポストだからローポスト。然るにハイポストは高い位置のポストです。具体的にはフリースローラインのすぐ横あたりで行うポストプレイです。
ここで疑問を抱く人もいるでしょう。
ローポストはゴールに近い位置から攻撃を仕掛ける行動でした。シュートが成功しやすい近距離から仕掛けるわけですから、その有用性は直感的にも理解しやすいものです。
しかしハイポストはゴールから少し離れた場所で行うポストプレイです。わざわざゴールと離れた場所でポストプレイを行うのにはどんな意味があるのでしょうか?
今回はここに焦点を当てていきます。
ハイポストは「オフェンスの起点」であるとよく言われます。ビッグマンを中心にオフェンスを組み立てる戦法の王道と言っていいほどで、特にゾーンディフェンスを攻略する際に効果を発揮します。
と言うのも、ハイポストは実にさまざまなパターンの攻撃に派生するからです。
ハイポストは前述の通り、フリースローラインのすぐ横あたりで行うポストプレイです。この位置は、(個人の技量にもよりますが)ミドルシュートをまあまあの確率で決める事ができ、ワンドリブルでディフェンスを抜いてレイアップ等でのフィニッシュを狙う事もでき、さらには
言い換えれば、ディフェンスとの間合いと能力差を考慮し、技、スピード、パワー、どれで勝負を仕掛けるかを任意選択できる戦法だと言えます。
そして第二の利点は、パスです。
ハイポストの位置は、ハーフコート上にバランス良く味方が散開している場合、ちょうど5人の中央付近になります。
通常バスケットボールでは、長いパスやディフェンスの上を越そうとする山なりのパスは、ボールを奪われてしまいやすいです。奪われなかったとしても、ゆるい山なりのパスでは、ボールが受け取り手に届く前にディフェンス側が適切な守備位置に就いてしまい、得点チャンスを創出する効果は得られません。
ですが、ハイポストの位置からであれば、短い距離の素早いパスを、ハーフコート上のどこに対しても出す事ができます。
そしてハイポストからのパスは、さまざまな連携プレイに派生します。
ハイポストにディフェンスが注目している裏をついた、ディフェンスの背面から走り込む
ハイポストを警戒してディフェンスが収縮している場合、特にゾーンの両翼の位置の選手がハイポストに寄っている場合は、パス一本で45度~コーナーの3Pシューターに撃たせる絶好のチャンスです。
ハイポストの側を通ってゴールへと走り込む選手がいた場合、その選手とすれ違う瞬間にボールを渡すか、あるいはそう見せかけて自分で行くかの二択を仕掛ける事ができます。またボールを渡す場合は、渡した直後にポストマンがスクリーンの役割を果たす事で、ボールを渡した相手からディフェンスを引き離す効果も得られます。
代表的な連携プレイだけでもこれだけのバリエーションがあるのですから、ハイポストというものがオフェンスを組み立てる上でどれほど重要かはおわかりいただけるでしょう。
また、ハイポストでボールを受け取る事自体がディフェンスの注意を引き付ける効果を持ちます。そのため、さきほど述べたように有効なパスを出しやすいという特性は、チームオフェンスを機能させる上で大きな効果を発揮します。
特にゾーンディフェンスに対してハイポストが有効とされるのはこの点に起因します。
ゾーンディフェンスは、ゴール付近で隊形を組んでオフェンス側を迎え撃つディフェンス方式です。マンツーマンディフェンスのように"人"に対して守備の担当を割り振るのではなく、"位置"に対して守備の担当を割り振ります。
そのため、何度もパスを回しながら、オフェンス側の選手がコートを横切るように走り抜けたり、誰の担当位置なのか曖昧な位置で立ち回ったりする事でディフェンスに混乱を与えるのが、ゾーンディフェンス攻略の基本と言われています。
ハイポストの"ポストの位置でボールを貰って注意を引き付ける"という効果と、"短く鋭いパスを繋ぎやすい"という特性は、こういったゾーンディフェンス攻略法と非常に相性がいいというわけです。
実際の立ち回りを見てみましょう。
ハイポストでボールを貰おうとする場合、ローポストのようにその場にズデンと居座って面を取るのではなく、ディフェンスに体を寄せながら"低い"位置から走り込んできて、フリースローラインのすぐ横あたりで突然に面を取る動作をするのが一般的です。この動作をフラッシュなどと呼んだりします。
ボールの受け取り方はローポストと同じく、ジャンプしてボールをキャッチ、そして両足同時に着地です。この意図はローポストと変わりません。
ボールを受け取ったら、ディフェンスに対して背を向けたまま、肩の高さにボールを保持した姿勢から行動開始です。
肩ごしにディフェンスとの間合いを確認しつつ、ハイポストに合わせるプレイで点を取ろうとする味方がいないかも見て、自分で攻めるか、パスか、最善の行動を判断して実行します。
あるいはそこから明確にディフェンスと1対1の勝負で点を取りに行くのなら、ターンしてゴールの方向を向き、そこから勝負を仕掛けるのもアリです。ただし、たいていの場合はディフェンス陣形の内側に入っているため、囲まれてボールを奪われる危険性が常にある事は意識しておきましょう。
繰り返しになりますが、ハイポストは実に多彩なオフェンスの選択肢に派生します。自分で攻めてよし、味方に攻めさせてよし。だからこそ伝統的なオフェンス戦法のひとつとして定着しています。
ハイポストからのオフェンスに習熟しているかどうかは、ビッグマンの技量と戦術知識を測るひとつの基準と考えてよいでしょう。
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