一話 お、おはようございます?
ジリリリリリリリリリリリリrrr!!!
耳障りな目覚まし時計をと止めて起床する。時刻を確認すると午前七時、いつも通りの起床時間だ。
なんだか昨晩は殺されたいっや~~~~~~な夢を見ていた気がする。ていうか夢で良かった。いやマジで。さすがにあんな殺され方は無いよな……俺恨まれるほど知り合いもいないし……
嫌な気分だけど切り替えて本日も勤労じゃい!その前に飯じゃい!ファイト一発だ!頑張れ童貞!
俺はベッドから降り着替えの準備に入る。
……いやまて?ベッド?俺んち布団だった気がするんだけど?
恐る恐る周りを見渡すとそこは―――――実家の自分の部屋だった。ファッ⁉
「なんでやねん」
落ち着け。クールにいこう。先ずは現状把握だおちちゅけ…おっほん!
改めて部屋を見渡すと、まごうことなき実家のマイルームだった。ここまではまだおーけー。部屋のクローゼットを開けてみると、そこには制服がかかっていた。卒業してから不要と判断して捨てたと思うんだけど…
俺は慌てて洗面所に向かって驚愕した。
「は、肌が…ピチピチだ……」
じゃなくて!
「若返ってる…」
二十九歳だった頃と比べると明らかに若返っていた。若返りの薬を飲んだ覚えもないし、そういった注射も打ってもらった記憶もない。しかし、鏡に映る自分は高校時代の時の顔をしていた。いみふ!めーい!
―――――――――――――――――――――――――――――――――
やあ皆おはよう!僕の名前は
朝起きたら高校時代にタイムリープしてるなんて受け入れられる?否!無理である!
百歩譲ってもう一度やり直せるとポジティブに考えてみよう。しかし、おっさん予備軍の俺にはもはや、やり直す気力など微塵も残ってないでござるよ…
やはり昨晩の刺殺はマジだったのか?死ぬ瀬戸際に何かが起きてタイムリープしちまったとか? …勘弁してください。神様、俺モテ男にしてって言ったじゃないっすかー?過去の俺に戻った所で意味ないっちゅーねん!アホ!神のアホ!
「まぁこうなっちまった以上とりあえずは懐かしのスクルーライフをエンジョイしてみますかね」
ぱぱっと顔を洗い、制服に着替えてリビングに向かう。
「お、おはよう母さん」
俺は朝食を作っているであろう母親に挨拶をする。昔から挨拶しないと鉄拳制裁されていたので、条件反射的に挨拶するようになってしまった。母に勝てる生物などいないのだよ…
「は?纏は兄ちゃんのママになった覚えはないんだけど?」
「へ?」
キッチンに顔を向けるとそこには――――妹の纏が調理していた。
不機嫌そうに俺に反論していたが、それどころじゃない!!!
「うおおおおおおおおおおお!纏もあの頃の纏じゃんか!」
即座に纏に近づき、感情の赴くままに抱きしめる。
「あ~~~やっぱこの頃の纏は可愛いな~~~~」
「やっかましいわ!いきなりなにすんの!」
「あべしっ!」
鮮やかなアッパーが俺の顎のジャストミートし、吹き飛ぶ俺氏。俺的にはかなり懐かしい光景なんだぞ?十数年ぶりの生JC纏ちゃんだぞ?
「いや~悪い悪い。何せタイムリープしてきたみたいでさー、この頃の纏に会えると思わなくてつい…」
「寝ぼけたこと言ってんじゃないわよ。朝ごはんできたから早く食べちゃって。兄ちゃんも今日入学式でしょ?」
「そうなの?」
「昨日そう言ってはしゃいでたじゃない」
言われてみればそんな行動をしていた記憶が微かに残っている。実際には勤勉地獄になって、青春も甘酸っぱいラブな展開も起きなかったけどな!
「どうだ兄ちゃんカッコいいか?」
くるりと回って制服を見せびらかす俺氏。対して纏は鼻で笑いながら「フン、馬子にも衣装ね」と馬鹿にしたような笑みで罵った。お兄ちゃんかなC-!
纏と話して実感したが、どうやらマジでタイムリープしたようだな……アッパーくっそ痛かったし。つまりは何かが起きない限り元の時代には戻れないだろうし、このまま過ごしていくとまた面白みのない勉学地獄が待っている。
(考えてもアホだししゃーねえな)
開き直って好き勝手してみますか!
「纏!兄ちゃん青春してみるわ!」
「どうでもいいから早くご飯食べてよね?洗えないじゃない」
最後まで辛辣な態度な、お目目くりっとしてて俺と同じ黒髪をセミロングまで伸ばしたプリティー(低身長)な纏ちゃんでしたとさ。
とりあえず一言
おはようございます?二度目の世界さん?
運命に嫌われている 一ノ瀬 @Eltlight
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