魔法学園入学試験⑩
「殺すか封印するだって…?」
「そうじゃ。こやつはちと危険すぎる」
「そんな勝手に決めて…そうだ!ゴーギには伝えたんですか!?」
「ゴーギ?誰ですその人」
「落ち着いて、ネス」
「こいつらエイクの親にも伝えずに勝手に殺そうとしてるんだぞ!?笑顔で送り出した先殺されたら俺はこの先どういう顔でゴーギと接すればいいんだよ!」
「そのゴーギさんってのはエイクの身内の方なのね。怒るのも無理はないわ。誰にも伝えずにいつのまにか勝手に殺されたら余りにも酷すぎる。姉さん、それでもこの国が誇る魔法学園ですか?学園長」
暫く間を置いて学園長は話し始めた。
「2人とも、エイクは今すぐ殺すのではない。それに及び封印とも言っただろう。まぁそれを決めるのはワシに任されてるがの」
「ふぅ…ただでさえ龍の力を持つ者は世を混沌へと導くといわれてるのだ。それに龍は存在そのものが罪とされている。その者が今日みたいな力をコントロール出来ていなければこういう処置を取らざるを得ないということはお主らでもわかるかね?何せ大勢の人に見られてしまったのだ」
なかなか結論を出さない学園長にイライラしてるとそれを見てため息をつかれた。
「はぁ…そう焦るな。そうだな…解放するためには2つ、どちらかの条件を満たす必要がある。
1つ目は力の制御。エイクがその力を自分の支配下に修める事だ。
2つ目はエイクをいつでも御せる人が常に側にいる事だ。
この2つのどれかをのんでもらおう。」
前者についてはエイク次第だが後者については俺がいる。
「なら後者を選びます。俺がエイクの隣にいましょう」
「わかった。しかしお主が御せなかった場合こちらで処理をするぞ」
「分かりました」
「ならこの話はここまでじゃな」
「学園長…!そんなことをして良いのですか!?」
驚愕の表情を浮かべたロック副団長が隣の学園長に向かって叫んだ。
「ロック副団長。龍の力を持っていても彼はこの学校を入学しに来た若干6歳の幼子ですよ。この国の力になるにせよ滅ぼすにせよその前に彼には人として未来があり可能性があるんじゃ」
ロック副団長は張り詰めた糸が切れたようにため息をついた。
「はぁ…こうなった学園長は引きませんですし分かりましたよ。ですが上が黙っちゃいませんよ」
「ホッホッホ。自分の保身しか考えてないクソガキ共の言うことをまともに相手にしてたら長生きできんのんじゃ」
ロック副団長は「報告するのは私なんですからね…」と言いこの場を後にした。
「さて、これにて話しは終わりじゃ。君達も家に帰りなさい」
「エイクは?」
「学園側が責任もって回復まで見届けよう。ワシの見立てだと明日には目覚めるだろう」
エイクの事に関して父さんから何も聞かされてなかった…。それについても聞きたいが隣にいるケプリがロック副団長がいなくなったあたりからうつらうつらしている。おそらく緊張の糸が切れて眠気が襲ってきたんだろう。
「わかりました。では今日は自分達はこれにて失礼します」
こうして長い一日が終わった。
死んだ俺が神様になるまで 清白瀬見 @naduka
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