魔法学園入学試験⑨
「ここはどこだ…?」
「ここはお前の心の中の1番最奥の位置にあたるな」
後ろから自分であるエイクがこちらに向かって歩いてきた。
「お前は誰なんだ?」
僕は距離をとり彼の目を見た。
「おいおいそう身構えるなよ」
そう言って彼はエイクの姿を辞め、自分より10倍以上くらいの漆黒の巨大な異形へと姿を変えていった。
「」
「主よ絶句するか。この俺の姿を見て絶句するか、良い反応だ。クハハハハハハ!!」
そりゃあ絶句するよ。この訳の分からない状況でこんなにも大きい魔物が目の前にいるのだから。それより今聞き逃せないことを言ったな。
「主?僕が?」
「ああそうだ。ダリア=エイク。それが俺の主の名前だ」
「何故あなたみたいな異形の存在が僕のことを」
「それがーーーーーとの約束だからだ」
「…ッ!あなたは一体何者な…んだ…」
かろうじて言い終わる事が出来たが、直後目の前が真っ暗になりそれと同時に僕の意識も黒く塗りつぶされた。
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「ネス坊、ケプリ嬢待ってたよ。そこに座ってくれたまえ」
エイクが運び込まれた部屋に行くと、そこには学園長と少しやつれ気味のロック副団長がエイクが寝ているベッドの傍らに座って待っていた。
「姉さん元気そうで何よりです」
ケプリは座るとすぐに姉であるロック副団長の安否を気にした。ロック副団長がエイクにやられた時1番動揺してたのがケプリであったからだ。
「いえいえ。かろうじてここに居ますけど今見栄を張るのが精一杯なのが現状ですね」
今のロック副団長を見ると触れたら今すぐにでも倒れそうであった。
「無理をするなロック副団長、それより本題に入ろうか。君達をここに呼んだのは他でもないこの者をどうするのかだ。ネス坊よ、この者がこれまでこうなったことはあったか?」
学園長は 横に寝ているエイクを一目見たあと髪で見え隠れしている眼が貫くように俺たちの方を向いた。
「いいえ全く。俺の方こそ何故ああなったか知りたいくらいです」
エイクと会ってこの数年間、腕が黒い鱗で覆われて底のないどす黒い魔力と殺意をこちらに向ける様なことは出来なかったし、仮に出来たとしたら真っ先に俺に俺に言うはずだ。
「そうかグレンから何も知らされてなかったか」
「グレン…父さんからですか?」
「ああそうだ。お前達がここに来る前に手紙を受け取っていてな、その内容に関して知ってるものだと思っていたが知ってなかったか」
そういうと学園長はポケットから手紙を出し俺の前に差し出した。そして俺がそれを受け取る前に信じられない事が耳に入った。
「先に言っておく。ワシたち上の結論はダリア=エイク、この者は目覚める前に封印、もしくは殺すと決まった」
それは無常で俺達がこの部屋に入ってきて少し遠慮した声色とは別物で静かに厳しく事実を突きつけられた。
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