14.手がかり
結局、昨日は手がかりを得ることはできなかった。別の場所で聞き込みをしていたセロアとルベルも同じだったようだ。
それでも諦めずにルティリスは翌日もロッシェと一緒に街に出ていた。
リトが姿を消してから三日が経とうとしている。何があったのか不安でたまらないが、ロッシェの勧めで場所を変えて聞き込みをすることにした。
「あれ、この人」
尋ねること何人目かで、相手の表情が変わった。すぐにルティリスは耳を立てて聞く体勢に入る。
「知っているんですか?」
「いや、知らないんだけどね。でもさ」
そう歯切れ悪く答えたのは、
「さっき、この似顔絵と同じ特徴の
期待に沿うような答えではなかった。けれど、この情報を聞き流して無視してはいけない。
直感的にルティリスはそう思った。
「どんな人に聞かれたんですか?」
「んーとな、チビっこい
ルティリスはオレンジ色の目を見開く。頭の中で、ひとりの少女の顔が浮かんだ。
「ありがとうございました」
ひとまず丁寧にお礼を言ってその場を離れることにした。
人がたくさん行き交う雑踏の中、思わず立ち止まる。考え込むように黙り込んだルティを見て、ロッシェが口を開いた。
「ルティリス、さっきあの人が言っていた
「たぶん、ティオちゃんだと思います。前に会ったことがあって、リトさんが働いている研究所の所員さんなんです。ティオちゃんも、どうしてリトさんを探しているんでしょうか」
ルティリスにはいくら考えても分からなかった。リトは休暇を取って旅に出ているのだし、仕事の件でティオが探す理由が分からない。訳ありみたいだという、先ほどの言葉がルティリスの頭に引っかかる。
考えすぎて唸り出した狐の少女を見て、ロッシェは口許を緩め、まるで父親が幼い娘に答えを与えるように言った。
「それは、本人に直接聞いてみた方が早いと思うよ。まだこの街にいるだろうし、ひとまず彼女を探してみようか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます