138:当時は人間関係に違和感しかなかったのだけれど。

 大学では友達はほとんどできませんでしたが(とてもよくしてくれるひとは何人もいました。もう連絡先もわかりませんがもしどこかでお会いできたらお礼を言いたい。せっかくの厚意を無下にしてしまったことが多すぎて)、その代わりにといいますか、さきほどすこし述べた高校の友達の友達、みたいな、いわば「共通の友人コミュニティ」とでもいったものに頻繁に出入りするようになります。


 これはいちばん近いのはたぶん社会人サークルで、みんなで海に行ったり、カラオケしたり、飲んだり、ビリヤードしたり、ジャズバーに行ったり、十数人はいたライングループで夜な夜な文字チャットをしたり、つまりそういうゆるく遊ぶ雰囲気でした。

 実際、社会人も学生も入り乱れていて、仕事や立場や業種をこえた気安い親しさがあった――はずなのですが、私はそこにどうにも馴染めませんでした。


 馴染めないのに、そこにずっといたのは、たぶんそれでも私は当時人間関係を求めていたのでしょう。大学では得られなかったものの代替手段として、そんな失礼な感情でそこにただ居続けたのかもしれません。

 そういう動機だったら、馴染めないのはいまでは納得です。なんのことはない。シンプルに、私のほうに、原因があったのです。


 ただ、どうしても社会人も多かった関係で、夜遊びもひどく、また年齢の最頻値がたぶん二十代半ばくらいだったということでオールや唐突な泊まりなども当たり前でした。

 私もこのころよく新宿歌舞伎町や五反田などで夜を明かすようになります。

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