137:その冬は。放蕩時代の、はじまりでした。

 ここから、私自身の、そして私と彼の関係性における放蕩ほうとう時代がはじまります。

 放蕩。グーグルで検索すると、「酒色にふけって品行がおさまらないこと。酒や女におぼれること」とありますが、まあおおむね間違いではないでしょう。私は自分自身が女性ですけども。




 ここでいちど私や彼の当時の状況をお話ししておくことにします。



 私は大学にはほとんど行けなくなりました。二年生次では一年間の休学が決まり、どんなに最短でも一年プラスでの卒業が、そのときにすでに決定してしまいました。

 私立、けっして安くない学費。休学でも納めなければいけない額はあり、プラス一年ぶんの学費も必要となってくる。親にもいろいろ言われました。つらかったですが、いまにして思えば当然だったとも思います。なにせ額が額だ。

 また上智大学は、(あくまでも私の実感としては)けっこう単位の取得などなどに厳しく、かりに三年次から復学できても、単位を取れないと平気で落第、あるいは退学処分ということがありえました。また所属上限年数もありまして、ゆっくり単位を取って卒業、みたいなことは制度上でも実質的にも決して許されていませんでした。このことはけっこう大きなプレッシャーになっていた気がします。


 そして、いったん「難関大学合格」という目標を、とてもぎりぎりのかたちであっても果たしたこともあって気が抜けたのか、単に大学に馴染めなかったせいか、私は空気がしぼむようにすこやかさをうしなっていきました。

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