108:神さま気分のスタバへ、ごー。

 彼は制服でした。私の知ってるままの、高校のブレザーでした。たしか学校帰りだったそうです。でもまだ明るかったので、部活のない日であったか、都合を合わせたかしてくれたのでしょう。

 つい数ヶ月前までは私もそこにいたはずの高校というものを強く感じ、私はすでにくらくらしていました。



 まずは、スタバに行きました。私がかねてより「神の気分が味わえるスタバ」と言っていた(いまもたまに言う)スタバです。

 ほんとうは私が受験期のほとんどを過ごしたサンマルクカフェに連れていきたかったんですけど、満員で、入れなかったので。

 神の気分を味わえる、とはどういうことかというと、ガラスの窓から電車のホームがクリアに見渡せるのですね。位置的には中二階にあるので、ちょっと見下ろすような格好になります。つまり、ラッシュで激混みで乗り降りするにも苦労するような日常のひと風景を、こちらは、ふう、とコーヒーやおいしい飲みものでひと息つきながら、堂々と見下ろせるというわけです――なので「二時間神さま体験スタバ」と私は呼んでました(二時間くらいするとだいたい声をかけられて追い出された。至極まあまっとうなことです)。


 受験勉強にもよく使っていたので、そういう「神さま気分」の実感を後輩くんにも話したんですけど、「いや俺人間ですし……」みたいな反応をもらった気がします。ごもっとも……。

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