72:保健室の雰囲気についての余談ですよ。

 これはまあ、本筋とはそこまで関係ない余談なのですが。


 私は中学のときにはがっつり系の保健室登校で、それこそ午前から午後まで保健室にいることで出席を認めていただいたりもしてました。私以外にも保健室登校の生徒は多く、保健室登校組でひとつの教室みたいになってるような奇妙な状況さえできあがってました。

 保健室の先生もそのことになにも言わず、サバサバした強気のその先生はむしろなんらかの問題を抱えた保健室登校組の担任の先生みたいにもなってました。というかいまにして思えば、学校全体において保健室は不登校児の受け皿になってたのでしょう。

 また生徒たちの駆け込み寺としても立派に機能していて、泣きながらバンッ! と扉を開けてさめざめと泣き続ける、みたいな生徒も多かったです。そういうときには教師がその子を追っかけてきて、授業二時間ぶんくらいは小声でうんうんと話を聴いてるとか、ざらでした。


 なので私が高校から来たこの学園の、厳しくするわけでもないし無理させずきちんと早退もさせるけど、居場所ではないよ、といった割り切った雰囲気の保健室は、私にはどうもいつも澄ましたように感じられました。

 まあいまにして思えば私の出身中学は公立で、学園は私立でしたので、当然といえば当然の温度差だった気もします。


 ただ体調が悪いと言えば熱がなくても授業一時間ぶん寝かせてはくれたので、私は結果的に高校でも保健室のお世話になってました。全教科、あと何回欠席したら単位を落とす、と計算しながらだったので、相当嫌な生徒だったかと思います……まあそこらへんの私のちまっこい底意地の悪さは、先生がたにもバレバレだったんでしょうね。若さって、恥ずかしいです。

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