仲の悪い蛙と兎と猿が一輪の花を探すおはなし

備成幸

人呼んで「偽史鳥獣伝」

 これは日本の話ではないらしい。ではどこの話かというと、私も良くは存じ上げないが、どうやら旧友の牛馬ぎゅうば道糞どうふんによれば、清国の沢菜たくさいという学者が、お露西亜国のソシャゲ・ダイスキーという大将軍、米国のケン・タッキーという医師から聞いた話で、彼らの言葉では「ジャンケンマケタ・アニキカネカエシテ・プードルッテモフモフシテルカラスキー・アイスツメテーヨ・ネトランカラネミー帝国」と呼ばれる国の話である。これは彼らの国の大変偉いお坊様が名付けた、有難い国名なのだが、彼らの中で「長すぎる」という意見が出たため、民主主義として少数意見を尊重する彼らはそれを受け入れ、さらに短く呼ぶことにした。今はこの国のことを、単語の頭文字をとってJAPANと呼んでいるらしい。そういう、摩訶不思議・奇妙奇天烈な国のお話である。


 とにかく今日は空が青く、どこまでも透き通っている。蝉は半狂乱になり、入道雲はセクシーにポーズを決め、太陽にいたっては天空で爆笑していた。世界は夏色であった。

蒸した草の匂いが充満する野原に一本ひょろひょろ伸びている街道。そこに朱色の野点傘を差した茶店がある。そして、その安っぽく汚れた板で組み立てた小さな店目がけて歩を進める男がいる。男の名は蝦蟇口がまぐち二郎左衛門じろうざえもん。俗に言う、一匹の蛙であった。黒い着流しを見に纏い、腰に差した一本の刀、二郎左は侍であった。侍だって街道は歩くが、目的も無く街道を歩く侍はいない。いや、いるかもしれないが、それにしたって人間はどんな状況であれ目的を主に動くので、どれだけ悠々自適に歩いているように見えても、人間たるもの何かしらの目的は常に存在するのである。いや、二郎左は人間ではないが、しかし蛙だってただゲコゲコ鳴いて跳びはねて虫を喰い、蛇に喰われている訳ではないので、やっぱり目的はあるのである。

 茶店には先客がいる。彼は土色の茶碗で茶をがぶがぶ飲んでいた。小袖と袴には、水玉の模様が施してある。柄や色付けは、南蛮のものらしかった。ということは、この男が着ている着物はかなり高級なもの。そして着物にこれだけ金を使うということは、彼の家が裕福であることが分かる。と思いきや、目を凝らせばその着物は継接ぎだらけで、この男は今ずば抜けて裕福というわけではなく、見栄っ張りな小物というのが推察できるだろう。

 話を戻すが、この見栄っ張りで小物な男が、二郎左が街道を歩く目的であった。

 男の名は宇佐見うさみ跳五郎ピョンごろう。俗に言う、一羽の兎であった。彼もまた士分であり、腰には高級そうな黒い刀を二本差している。

 二郎左が彼の隣に腰を下ろすと、跳五郎は茶をがぶがぶ飲むのをやめ、如何にも「今の今まで上品に茶を嗜みながらお主を待っておったぞ」という風を装った。しばらく、二人をやかましい夏の沈黙が包みこんでいた。

 二人は互いに面識こそあったが、先日幕府のさるお方(そのお方はあまりに身分の高いお方なので、このような書物に名前を出してはご迷惑になると配慮し、名前は省かせて頂きます)に命令された極秘プロジェクトのメンバー、というだけの間柄であり、別に親しいわけではなかった。更に遅刻しているがこの場にはもう一人やってくるので、それまで二人はこの茶店で、二人きりで時間を潰さなければならなくなってしまっていた。

 蝦蟇口二郎左衛門は、こう思っていた。

 暑ッ。暑い暑い暑い、本当に暑い。流石に「歴史的猛暑」と言われるだけあって、今年の夏は本当に暑い。地球温暖化って奴かなあ。だとすれば拙者、来年ぐらいにはいよいよ干からびてるんじゃないかな。暑い。それにしても、隣に座っておる宇佐見ナニガシ、どうして何も喋らんのかね。いや、拙者一応寡黙な感じの侍としてやってきてるわけだし、ここでこっちから「ねえねえ、今日暑くない?」とか言うのは、ちょっとやだ。いやいやいや、この前あの方に呼び出された時は、あんた意気揚々と喋ってたじゃないかよ。「某にお任せ下さいッ キリッ」って感じでさあ。あの雰囲気で喋りかけて来いよ。あー暑い、あームカつく。

 一方、宇佐見跳五郎は、こう思っていた。

 暑ッ。暑い暑い暑い、マジで暑い。いや、こりゃ天気予報も「歴史的猛暑」って表現使うわ、本当に人生一暑いもん。なんで毛皮が生えそろった兎なんかに生れたんだろうなぁ、俺。くー、隣の蝦蟇口殿は涼しげな顔してるし、俺も蛙に生まれたかったなあ、毛皮とか無いし。あ、そういや日よけ笠忘れた。もー嫌になっちゃう。それにしても、蝦蟇口殿は何故一言も喋らないんだろう。お話したい気持ちは無いわけでもないというのに。あーでも、そういうタイプじゃないしな。任務に忠実、冷静沈着、って感じのザ・カッコイイ侍って感じだし、俺からアホみたいに「ねえねえ、今日暑くない?」みたいなこと話しかけたら「あ、はい。あの、任務の前なんで集中したいんですけど」みたいなこと言われるかもわからん。うん、やめておこう。つか、もう一人は何をやってんだよ。あの人ちょっと蝦蟇口殿とも親しげだったじゃん。早く来いよ、もう一人。全然間が持たないじゃん。あームカつく。

 互いに、夏の静寂の中で孤独であった。

少しだけ時が流れた。しかし二人にとっては、苔が岩を覆うほどに永い時間に感じた。すると遠くの方に、陽炎に揺れる人影が見える。とうとう待ち人が来た、と立ち上がった二人だが、そこから現れたのはただの飛脚であった。

「糞」

「飛脚かよ」

 二人は驚いたように顔を見合わせて、少しだけ打ち解けた気がした。過程はどうあれ、俺たち二人はもう一人のメンバーが来ないことにイラついている、という一点において、同志なのだ。汗だくの顔を見合わせて、互いに少し笑った。

 するとである。飛脚は茶店の前でぴたりと止まり、二人に向かってぺこりと頭を下げた。

「お待たせ致した、御二方。猿ヶ京さるがきょう勘吾かんごでございます」

 猿ヶ京の勘吾。俗に言う一匹の猿。幕府の密偵の端くれで、この三人の中では最も「さるお方」に近い存在である。本日は飛脚に成りすましての登場であった。

 二郎左と跳五郎の怒りの矛先は、当然勘吾に向いている。暑さのせいもあって、二人は今にも腰のモノを引っこ抜いて、勘吾を八つ裂きにせんという気迫であった。勘吾はしわまみれの顔で、にへ、と並びの悪い歯を見せて笑った。

「遅れてしまい申し訳ありません。なんなら、この茶店で茶の一杯くらい奢らせてください」

 真っ先に嫌な顔をしたのは跳五郎である。跳五郎は怒っていた。勘吾が遅刻したからではない、遅刻した勘吾に文句を言う前に謝られたことに、怒っていた。気まずい沈黙に耐え、夏の日差しに耐え、日傘を忘れ兎に産まれた己に耐えたことによって蓄積された怒りのエネルギー。それをぶつける相手である勘吾は既に謝罪して、さらにはお詫びもすると言っている。となれば、自分が勘吾を蹴っ飛ばし「遅れてんじゃねえよ」と怒鳴ることは、社会的にできないのである。

 跳五郎は長い耳の根っこを掻きむしると、わざとらしく大きなため息をついた。

「あのさあ、猿ヶ京の勘吾さん」

「あい」

「お金があれば全部解決できると思ってます?」

「はい?」

「はい、じゃなくて。思ってますよね」

「いや、別に思ってないですけど」

「さっきの貴君、あれ完全に謝る人の態度じゃないですよね。こっちは暑い中ずっと待ってたのにヘラヘラやってきて、茶あ奢るとか。完全に舐めてますよね」

「そういうこと言うんなら良いですよ。奢りませんから」

「え、そういう話してなくないですか?」

「してないんですか?」

「あーも―駄目だこの猿。蝦蟇口殿、参りましょう。もう行っちゃいましょう」

 跳五郎の胸は少しだけすっとしていた。しかし蝦蟇口は言った。

「宇佐美殿、さように怒らんでも良かろう」

「え」

「だって謝っておったではないか」

「いやそうですけど、え、あんたそういう系の人?」

 否、二郎左はムカついていた。なんなら跳五郎以上に、勘吾にムカついていた。

 かつて二郎左と勘吾は、兄弟分の間柄であった。かつて破落戸だった二人は、それなりに仲良くやっていた。しかしいつしか勘吾は幕府の密偵にスカウトされ、自分との間に格差が生じていた。それもそれで運にムカついたが、何より「奢りますよ」とか言ってのけた時の勘吾の顔にムカついた。いかにも自分を見下しているように感じたのだ。

 しかし、二郎左は大人であり、侍である。それに今日集まったこの三人は、言うなれば短期とはいえ仕事を遂行するためのチーム。ということは、ここで二対一の構図を作ってしまうと後々その関係を引きずり、ミスを生じる可能性が出てくるのである。勘吾の態度はかつての弟分としては切腹ものだが、しかし社会人としてはまともな対応。ならば下手に波風を立てなくても良いじゃないか。と、二郎左は思っていた。

 そんな二郎左を横目に、勘吾は「あーマジでこういう空気嫌だわー。寝坊したっつったらぜってーやべーよなあ。だまっとこー。つかこいつら二人とも長袖ってマジかよ。暑いだろ。にしても俺って頭良いよなあ。こういう場面で「奢りますよ」って言うじゃん? それで「じゃあ頼むわ」ってなるやつ、幕府には全くいないんだよねー。やっぱ権力が絡むと、自尊心も積みあがるんだね。で、さらに俺は一応そいつらに謝ってる雰囲気まで出せるわけ。つまり、金も払わなくて済むし、誠意を表したことにもなる、まさに一石二鳥なんだよねーこれ。あーだる。つかもっと真面な仕事ねえのかよ」と、思っていた。

 こうして三人はさるお方からの命を遂行するため、出発した。


 彼らが命じられたプロジェクトとは、街外れのソガノ森の中に生えているという花を一凛摘んでくるというものであった。その花は一般にマサカ草と呼ばれ、紅色の弁を持っているらしい。ただ「それを摘んできて欲しい」というのが彼らの任務であった。

 跳五郎はその自尊心の高さ故、自分がこんなくだらない仕事に付き合わされていることに再びイラついていた。俺は武士だぞ、なんで花摘みなんかやらなきゃならん、と思いながら、耳をひくつかせながら口を開いた。

「なんで(略)様は、花なんか欲しがるかねえ」

「多分あれですよ、本草学の研究に使うんですよ」

「あのさあ、勘吾さん。俺別にあんたに喋ってなかったんですけど」

「あーはいはいはいはい、すんませんしたー。っぜーな糞」

「あのさあ、もう本当お前さあ、まあいいや、うん、もういいや」

 そうこうしているうちに、ソガノ森に足を突っ込んでいた。木陰に入ると、結界に守られたように涼しくなった。木々たちは上空やら斜め下の茸やらを見つめたまま、三人を歓迎している。それに呼応して、いよいよ三人は嫌そうな顔をした。

 さるお方からの御命令は「ソガノ森の中に生えているというマサカ草を摘んでこい」ということだけである。マサカ草の特徴や場所等は、一切伝えられていない。さらにはこの中に、そういった植物に通じた者は一人もいなかった。ならばなぜこの三人がそのメンバーに選ばれたのか? そう、こんなくだらない仕事をやるのに、すぐに見つかる人材が彼らくらいだったからである。三人はそのことを十分に理解していた。

 こうなると、次に複雑な顔をしたのは勘吾である。

 勘吾は出世のためなら何でもすると自称するほどに、上昇志向が強かった。だからこそこうして幕府直属の密偵にまで成り上がった。だが今日の仕事が、果たして自分の出世に繋がっているのかと考えると、胃が痛んでならない。先輩や同僚が他国のスパイや邪魔者の暗殺などをやっている中、自分は近所の森でおっさん二人とお花を探している。正直、遠回しにリストラを宣告されたようなものだと考えた。

 しかし彼はそのことについて目をつぶった。この仕事の内容が大したことだろうとなかろうと、自分は成功させてこそ出世という光が見えてくる。しかしこの程度の仕事でも、今のままだと何時間かかるのかわからない。城に戻り報告を終えた後「お花摘みもまともにできないのかな」と小ばかにされることを想像すると、胃がねじ切れるようであった。

 逆に、一番張り切っていたのは二郎左である。二郎左は見ての通り浪人で、いつ野垂れ死んでも文句は言えない立場にある。だがこの任務は幕府の、それも結構お偉いさんからの御命令であり、このプロジェクトで成果を出せば、それなりのポストが用意されるかもしれない、と考えていたからである。謂わばこのソガノ森でのマサカ草探しは、自分のために用意された面接会場と捉えることもできる。もしこの仕事で成功すれば、晴れて自分の剣の腕も世間に認められることだろう。そうなればなお嬉しい。それで、もし可愛い嫁など貰えればなおなお嬉しい。二郎左は無口なキャラは崩さず、わしわしと藪の中へ踏み入り、熱心にマサカ草を探した。

 その頃、跳五郎は。

「蝉って良いよなあ。ぎーぎー騒ぎながら空飛んでるだけで良いんだもんなあ。いや、本当にそうかな。俺は兎だから蝉の言葉はわからないが、あいつらにはあいつらなりの文化や思想があって、もしかするとあの飛んでる蝉は上司にこき使われて嫌々買い出しに行かされている蝉なのかもしれない。とすると、俺という兎や、蝦蟇口や猿ヶ京みたいな動物なんかも、俺たちの掟を突き抜けた強大な存在から見れば、ただのバカな畜生にしか見えないのかもしれないな。そう、人生は長い。世界は広い。自由を手にした僕らはグレー」

 と、すっかり花探しには飽きていた。

 というのも跳五郎は妙に飽きっぽい性格で、今まで面倒くさい仕事や手間のかかる仕事は全てこうして諦め投げ出してきたのである。しかし彼は自尊心に耳が生えて飛び跳ねているような存在。上司に「この仕事、できる?」と言われれば、二つ返事で「できます」と応えてしまう。そして自分にその仕事を遂行できる実力がないと気づいた時、彼は天才的な頭の速さで、自分の行った愚かな行動の正当化、そして言い訳を探しながら、目上の者に叱られることを避けて避けて、避けてここまでやってきた。したらば、家は没落し、今や自分は後がない状況にまで追い込まれている。それなのに、自分は全くやる気にならない。そりゃそうさ、無理だもん、こんな仕事。俺より仕事ができるやつだって、今回ばかりは無理にきまってらあ。と、岩に生えた苔の上へと寝そべって、ひんやりとした岩肌と、刺激的な木漏れ日を浴びていた。

 そんな跳五郎を見て腹を立てたのが、勘吾であった。勘吾は表面上は跳五郎など眼中にないように振舞っていたが、跳五郎に悪態を付かれたことに傷つき、また邪見に扱われたことを根に持っていた。陰湿な彼は、先ほど自分に嫌味を言った跳五郎が仕事をしていないことにも腹を立てたが、それより自分たちの立場が知らぬ間に逆転していたことに腹を立てた。

 勘吾は飛脚に扮装した際に担いでいた荷を、振り向いたふりをして岩の上で寝そべる跳五郎の後頭部にクリーンヒットさせた。跳五郎は突然やってきた衝撃に、思わず怯えた顔をして勘吾に目をやった。その顔が、なんともマヌケ面であった。目はぐあああっと見開かれ、だらしなく開かれた口から出っ歯が二本飛び出している。勘吾は思わず笑ってしまった。

「すいません、あひ、すいません。ぶつかっちゃいましたっひゃっひゃっひゃっひゃ」

 跳五郎の怒りはすさまじく、腰に差した刀を抜いて、腹を抱えて笑い転げる、隙だらけの勘吾に向かって一閃を見舞った。が、これは金属音と共に防がれる。二郎左である。

 二郎左は思っていた。

「いやいやいやいやいやいやいやいやもおおおおなんでこいつらすぐ喧嘩すんの? ヒートアップして大けがやら殺人やらになったらどうすんのよ。そんなことしたら俺の出世街道がプツッと途切れちゃうでしょうが。てか宇佐美殿は何されたらそんなにキレんのよ、って、顔面白っ」

 と、つい二郎左が「ふす」と鼻で笑ったのを見て、跳五郎はますます怒った。

「なんなんだよこいつら。なんなのこいつら。なんで俺ばっかり馬鹿にするんだよ。俺がお花探しをしなかったのがそんなにウザかったのか。それなら黙々二人だけでお花探して、御褒美貰えばいいじゃないか。なんでそこで俺をこんなにバカにする必要があるんだ。俺ばっかり馬鹿にしやがって。俺ばっかり俺ばっかり俺ばっかり!」

 そして跳五郎の感情は、必死になっている跳五郎の顔を見てふたたび「んふっ」と笑ってしまった勘吾相手に爆発した。

「ぜって殺す。ぜって殺す。ぜって殺す」

「ままままままままま、落ち着きなされって。ね? いやいやいやいやいや、刀とかしまった方が良いですって。ほら、猿ヶ京殿も何か言ってくだされ」

「そうだそうだ、仕舞えよ馬鹿うさぎ」

「殺す」

「いい加減にしなされって。猿ヶ京殿、あんたも本当、そろそろマジでいい加減にしろよ」

「あーそっすね、さーせんした。茶でも奢りましょうか? あはは」

「があああああああああああああああああああああああああ!」

 跳五郎は刀を放り投げ、四つん這いになって勘吾に飛び掛かった。勘吾も負けじと、鋭い爪で跳五郎を引っ掻いた。そしてそれを制止する二郎左。三人は取っ組み合いになり、そのまま勢い余って坂道を転げ落ちた。

 と、その時である。横になった彼らの前に、一輪咲いた紅色の花を見つけたのである。

 直感で三人は「マサカ草だ」と思った。実際、その通りであった。

 三人はこうして花をさるお方に献上し、たっぷりと褒美をもらった。三人には伝えていなかったが、この花はさるお方が惚れた女にプレゼントする口紅の原料であった。

 そんなことは全く知らぬ三人は、喧嘩していたこともすっかり忘れて打ち上げの相談をしていた。特にノリノリで話をていたのが、意外なことに跳五郎と勘吾であった。

「で、どこ行きますよ、跳五郎さん」

「あのさ、鬼塚武家屋敷の西っ側にある居酒屋わかる?」

「あーはいはいはいはい、ありましたね!」

「あっこ行こうぜ」

「いいっすねえ」

「あ、蝦蟇口殿もいきませぬか?」

 それを聞いた二郎左は、脂汗を流しながら「拙者、下戸でござるゆえ」と言って、その場を去っていった。


 なに? 最後のがやりたかっただけだろうって? いや、この物語はかなり昔に創られたものなので、その真意は作者にしかわからないのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

仲の悪い蛙と兎と猿が一輪の花を探すおはなし 備成幸 @bizen-okayama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る