満たされる泉

会社では使えない男として周囲から見放され、当然、女子社員からも哀れみの目を向けられているように感じた。

自分に自信を失いかけていたその時、少しでも希望を見いだしたい、男として自信を取り戻したいという思いで、お見合いパーティーに参加した。

そして、そのパーティーで、私は参加した男性の中で一番人気となり、わたしが交際を申し込んだのは、女性一番人気の有希だった。

私たちは、一番人気同士のその場では、羨望の眼差しを向けられるカップルとなった。

有希は、猫の目のように大きくて愛嬌のある目、服の上からでもわかる形の良いバスト、女優でいうと観月ありさに似たとても魅力的で、今まで付き合えたことのないきれいな女性だった。

それからの私の生活は一変した。

将来に光が射したのだ。

有希は、私のことを愛してくれた。

デートの時は手を繋がないと怒り、家に遊びに行くと帰らないで、泊まっていくようにねだる。

私もそんな美しい有希を愛し、結婚を強く意識するようになった。

私のことを強く求めてくれる有希は、両親と同居しているにも関わらず、私と一緒に暮らすことを望み、私は有希の実家で同棲生活を始めた。

幸せだった。

だが、うだつの上がらない会社員の私は、このままでは、有希と家庭を気づくことは、できないと思い、思い切って会社を辞め、安定した公務員を目指した。

そのためには、国家試験を受験しなくてはならず、試験のための学校に通い、同棲しているにも関わらず、無収入となった。

それでも有希は、私を信じ、支えてくれた。

私の通う学校と有希の職場は近く、昼食代を浮かすために、有希は、昼休憩の時間に、私に手作りの弁当を届けてくれた。

そんな有希の想いにこたえたいと私は、猛勉強し、国家試験に合格した。

まさに、順風満帆。

明るい将来の展望しか、浮かばなかった。

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一滴の水 @yasu8405

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