第18話 sewra セゥラ
"mazefate cu?"
「目が醒めたかい?」
ers se+kin sud ca:ri.
聞き覚えがある声だ。
"sxumetisa..."
「師匠……」
jumigav foy za:ce ju:mzo.
ひどい夢を見ていたらしい。
erig mig mxuln ju:m.
とても奇妙な夢だった。
elna fira minizo.
エルナが目を開ける。
la+tas era mig mo:gan.
あたりはひどく薄暗い。
asrobas solca foy gastuma fo:bemzo.
松明が岩の表面を照らしているようだ。
col era foy gastanesma u:tu.
ここは洞窟の中らしい。
gow,wam yava honef pe+sxele cu?
だが、なぜ私はこんな場所にいるのだろうか?
"yu:jesma zertiga badanis tuz.ba+dani saglas zemnole teg..."
「ユージェスの法力がお前を気絶させたんだ。気絶は死に似ているからね……」
sxumetisa magbegum necega.
師匠が忌まわしい微笑を浮かべた。
garowa fog,aln ers o:zura.
すべては嘘だ、と叫びたい。
had erig u:tus.
あれは現実だったのだ。
"sxumetisa...jinmito fog tel.noblote vaz zemnariama a:jema tus cu?"
「師匠……訊きたいことがあります。私をゼムナリアの生贄として育てたのですか?」
"melrum ers! dusonvava tuz! tom ilmofe metsfig sagla solu:sale! vam o+da era u:tav zad! eto jod tansa! gow,jen eto va:rin yuridresa.zemnaria faha fa foy tuz a:jema tus"
「もちろんだよ! 私はお前が嫌いだ! お前のいろんなところがソルーサに似ている! 私の姉は最悪だった! お前はその娘だ! でも今、お前は立派な女魔術師だ! ゼムナリアはお前を生贄として喜ばれるだろう」
"welzad era cu? yu:jenartisma ongo era cu?"
「山賊は? 傭兵の依頼は?」
"aln ers yagno cedc.unfe sur ers yagno vo hocacigiv 'no:vce vols' tsem.sekito tic yu:jesma yurfazo.had yu:jenartis ers mig go+zun.yu:jes citsogo fog 'no:vce vols'zo.mig saglato solu:sale.ta 'no:vce vols' tudes re ho+cacitse.yu:jes muvos fog had uldonsle to ze:mgan re jes li socminzo.saglto solu:sale.ta eto solu:sama tansa.ubodis fa tic.hahahahahaha!"
「みんな芝居みたいなもんさ。最初からあたしらが『黒い狼』を罠にかけるための芝居なんだ。ユージェスの言葉を聞いたはずだ。あの傭兵はとても強い。ユージェスは『黒い狼』を苦しめたかったんだ。そして『黒い狼』は罠にかかった。ユージェスはあの老人にお前が殺される場面を見せたいんだよ。お前はソルーサに似てる。そしてソルーサの娘だ。奴はきっと絶望するに違いないね。はははははは!」
elna zankega aln vo:mozo.
エルナはあらゆる希望を失った。
wam egselega cu?
なぜ私は生まれてきたのだ?
na: a:jema tsem cu?
生贄になるために?
vam kads kap madsa kap ega: zemnariares.
私の父も母もゼムナリア信者だった。
va bagdoga 'no:vce vols'zo cu?
私が「黒い狼」を巻き込んだのだろうか?
ulf 'no:vce vols' bagdogo vaz cu?
それとも「黒い狼」が私を巻き込んだのか?
ers to:gum mu:jin,ta magsxen falel.
あまりにも複雑で、おぞましい運命だ。
rxafsa aboga,savu:r.
待て、と少女は思った。
vo:mo yas.
望みはある。
yem 'no:vce vols" solos del tic atumava ci sxumetisma yurfatse.
師匠の言葉によってまだ「黒い狼」は生きていると予想できる。
az ers ned zeros.
彼は神ではない。
gow go+desum go+zun.
だが、驚異的に強いのだ。
had so:rol,uldons losxuga li ja:mma a:ralile.
あのとき、老人は敵の存在に気づいていた。
now fikugu ci ned zemkoszo.
だが殺気は感じなかった。
ers melrus ja:m 'so:lolm tudas" fog dog.
敵が「生きて捕らえたかった」のだからそれも当然だ。
ta hudogo tanjuzo vekes dalgace su:jezo.
そして不自然な状況を理解して逃亡を判断したのである。
yu:jes ra+pots va+solm abogo.
ユージェスは突然、現れたように思えた。
had ers foy sxumetisama yuridusma indi.
あれは師匠の魔術の効果なのだろう。
e+di sekigi mxaz uldonsle cogtega sewruzo teg.
風を操ったので老人に男が聞こえにくかったのだ。
ne:gyace reysuma jalnozo jits set yas.
人間の認識を阻害する術すらある。
elna racmega la+tasma su:jezo.
エルナはあたりの状況を確認した。
tav era mig so:bice.
体がひどく冷たい。
ers hanzen fo+sozis wam jen sog losxuga ci ned.
なぜ今まで気づかなかったのか不自然なほどだ。
damtuga za foy ma+duzo.
服は脱がされているようだ。
kempega re tsasrima tijizo fim cedc metsutse.
両手の指は紐のようなもので縛られている。
ku+sin,yuridyurfama te:na yelnas sefnis yuridzoszo la:ponle tijitse.
普通、呪文の行使は魔術印を宙に指で描くことが必要になる。
dog tu+dace re yuridres jobag egas ci za ned tijizo.
だから捕らえられた魔術はよく指を動けなくさせられるのだ。
naws kalis li foy tavma a:mofe pe+sxele.
体のあちこちを縄で巻かれているらしい。
teg elna duyfum kul egega ned tavzo.
なのでエルナは少しだけしか体を動かせなかった。
"now...vasum nafamato va:rin resama tavle honef ma:sutse"
「しかし……あんな食事で見事な女の体に成長したものだ」
sxumetisa be:bum hures.
師匠が意地悪く笑った。
"eto yem jarnica.vom ner zerosa faha fa tic tom tavzo a:jema tus.aa,gu+zas nxanus fa foy tom zemtavcho.ers za:ce magjang!"
「お前はまだ生娘だ。我らが偉大な女神はさぞお前の体を生贄としてお喜びになるだろう。ああ、グッザスがお前の死体とやりたがるかもね。奴はひどい変態だ!」
"to...eto u:tav za:ce reysi! zemnariaresi!"
「あ……あななたちは最悪な人たちです! ゼムナリア信者!」
"santu:r"
「黙りな」
sxumetisa yujuga.
師匠が言った。
"omote cu? tom u:tav za:ce zadkec era i+gace.u:tusum,eto omgece gxa:!"
「覚えているか? お前の一番の欠点は感情的なところだって。実際、お前は生意気なガキだよ!」
sxumetisa magzadum hures.
師匠は禍々しく笑った。
dusinfe hu:ra ca:ri lucoras gastanes cedc la:ponnxe.
やかましい笑い声が洞窟らしき空間に反響する。
elna aboga,payu cod yuridresa era ned vam sxumtisa.
もうこの女魔術師は私の師匠ではない、とエルナは思った。
jen sata era ku+sin magce zemanriaresa.
いまの彼女はただの不浄なゼムナリア信者だ。
yem wona ci ned aln wognozo cod su:jetse.
まだこの状態ではなにも出来ない。
gow elna zankega ned vo:mozo.
だがエルナは希望を失わなかった。
'no:vce vols' yas.
「黒い狼」がいるのだ。
ers magboga cedc go+zun 'i+dewofe yu:jenartis".
彼は怪物のように強い「伝説の傭兵」なのだ。
cajos tic vaz.
きっと私を助けてくれるはずだ。
ta rxafsa nafega meg bac yu:jenartis cajos fa ci ned e+zezo su:je set.
そして少女は傭兵が自分を助けられなかったときについても考えた。
erav zemnariama a:jema.
私はゼムナリアの生贄だ。
ze:mnon mipacnxe ot,e+ze kotsos fa ku+sin zemtav.
死んだ瞬間に、自分はただの死体となる。
dog,u:tav zadma su:je,zemezova fa zev.
だから、最悪の場合、自殺しなければならない。
mende era jod ko:rad.
問題はその方法だった。
u:tusm ers dozgin kagega e+zema pedzo.
自分の舌を噛むのは現実的に難しい。
wamfig,rapdasum bomboga hxu:fazo elnuvu+casma tojsunxe.
なぜか突然、エルヌヴッキャスの街での襲撃を思い出した。
had erig mxuln.
あれは妙だった。
zemnariama a:jema solos zev del a:jeman algo sog.
ゼムナリアの生贄は儀式まで生き続けなければならないのだ。
zemnariares kozfiya 'no:vce volsuma go+zus'zo.
ゼムナリア信者たちは「黒い狼の強さ」を信用していた。
tigasma asmo erig tic ku+sin ho+caci.
ティガスの攻撃はただの罠だったはずだ。
erig ye:lna kozfis za 'no:vce vols'le welzadma a:ralizo.
「黒い狼」に山賊の存在を信じさせる必要があった。
gow to:jsuma hxu:fa holtsum batsogo.
しかし街の襲撃は明らかに違う。
elna abos azi gajum zemges e+zezo.
彼らは本気で自分を殺そうとしていた、とエルナは思う。
ulf,rxafsa ham nafega del.
あるいは、と少女はさらに考え続けた。
napreys zemges fog zemnariama a:jema,enhum elnazo.
誰かがゼムナリアの生贄、つまりエルナを殺したかったのだろうか。
turce reysi yas foy.
第三勢力がいるのかもしれない。
azi matos fog tic zemnariama algozo algo sar fulnum zemgas fen elnazo tse.
彼らは儀式の前にエルナを殺すことによってゼムナリアの儀式を止めたいに違いない。
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