第16話 reys 男

tigas ti:ralm mavs la+taszo.

ティガスが驚いたようにあたりを見る。


"nal era cu?"

「どこです?」


"fo:ris,fub,ta mej...ers mende.gow wamfig ers mxuln.tigas,sxalto cod la+tasma satpaczo"


「前、左、そして左……厄介だな。だがなにかがおかしい。ティガス、このあたりの地形を知っているか?」


"duyfum ers...gu+zas ye cod fo:risma pe+sxele"

「少しですけど……グッザスはこの前方の場所にいました」


"enhum,payu gu+zas atores ti+juce pe+sxele.now...ers ja:m cu? fikugu ned zemkoszo"

「つまり、もうグッザスは別の場所に移動している。だが、敵なのか? 殺気を感じない」


uldons bitsus.

老人がつぶやく


"duvikato cu?"

「からかっているんですか?」


elna jinmiya.

エルナが尋ねる。


"um..."

「うむ……」


bazum yu:jenartis hudos ci ned foy.

珍しく傭兵は判断しかねているようだ。


"'no:vce vols' yatmis ned!"

「『黒い狼』は間違えない!」


tigas me+galm yujugu.

ティガスが怒ったように言った。


"ya:ya"

「いや」


uldons mavs tigaszo.

老人がティガスを見る。


"erv ku+sin uldons.yatmi yas"

「俺はただの老人だ。間違えることはある」


ta elna losxuga.

そしてエルナは気づいた。


'no:vce vols' mig hxamos tic.

「黒い狼は」ひどく疲れているに違いない。


jen sog aboga azuz magboga cedc.

今まで彼を怪物のように思っていた。


u:tusum,ers 'ku+sin uldons'.

実際には、彼は「普通の老人」なのだ。


su+pavisum nantugo foy.

元気なふりをしていたのだろう。


gow payu ers ned rxa:fe.

だがもう若くないのだ。


hxamos li tavtigazo.

体力を消耗しているのだ。


"vo fu:wuv sup"

「私たちは休むべきです」


"ers foy"

「かもしれん」


uldons andas.

老人がうなずく。


elna ta ra:cusi katigi fuwuzo sxo:ma du:rnxe.

エルナと仲間たちは木の下で休むことに決めた。


"duyfum sxiv.to minjabito zev la+taszo"

「俺は少し寝る。お前たちはあたりを警戒しつづけろ」


socum uldons sxego foy.

すぐに老人は寝入ったようだ。


"gow...ers rxo:bin kilreys"

「しかし……恐ろしい戦士だ」


tigas ti:ralm yujugu.

ティガスは驚いたように言った。


abowa jod yurfa era se+gxon.

その言葉は正しいと思った。


"lombus li foy 'i+dewofe yu:jenartis' tus"

「『伝説の傭兵』って呼ばれているらしいし」


elna ma:vilm uldonszo yujugu.

エルナは老人を見て言った。


ta jinmis tigasle.

そしてティガスに尋ねる。


"aboto mogoto azuz cu?"

「あなたは彼が憎くないの?」


"um...mogov...wobfig batsos.'novce vols' zemges vim go:wis ra:cuszo.gow,vo kilnov tsal.ta vo gocrigi.zemgev re 'welzad tus' gow cajos re azel.mogov gu+zaszo...na:lzalm set zemariale"

「うーん……憎む……なにか違うな。『黒い狼』は俺の元仲間を殺した。でも、俺たちは戦い合っていたんだ。そして俺らが負けた。俺は『山賊として』殺されたけど彼に助けられた。俺はグッザスを憎む……ゼムナリアにかけても」


rxafsa vecboga jod yurfale.

少女はその言葉に怯えた。


"vomova yuju:r ned,jod marnazo"

「お願いだからその名前を言わないで」


zemnaria era rxo:bin zemnoma zerosa.

ゼムナリアは恐ろしい死の女神である。


"menxav...gow,jopag gu+zas yujugu li"

「ごめん……でも、よくグッザスが言っていた」


"nazc,gu+zas zertos zemnoma zerosazo cu?"

「まさか、グッザスは死の女神を信仰しているの?」


"ne+do! jopag yujugu li zemnoma zerosama marnazo.gow..."

「違う! よく死の女神の名前は言っていた。でも……」


rapdasum,tigas santugu.

突然、ティガスは黙り込んだ。


nafas li foy.

考えているらしい。


"somc...gu+zas kones mxuln reysucho.ers ma+dun sa+gxan rxumzo fon reys"

「ときどき……グッザスは妙な男とあっていた。汚いローブを着た背の高い男だ」


"savu:r"

「待て」


uldons yujugu.

老人が言った。


"mazefate cu?"

「起きたんですか?」


"ya:ya.tigas,sxafum cucha:r jod reys meg.ers foy temin zemnariama zereys"

「ああ。ティガス、詳しくその男について話せ。本物のゼムナリアの僧侶かもしれん」


zemanariama zereys.

ゼムナリアの僧侶。


ers mig rxo:bin yurfa.

ひどく恐ろしい言葉である。


zemnaria fowa aln vagicma zemnozo.

ゼムナリアはあらゆる種類の死を欲する。


ze:mga.ze:mezo.narkils.magzemki.

殺人。自殺。戦争。虐殺。


ers aln vagicma zemno.

あるゆる種類の死だ。


melrum,reysi magdusnogo zemnariama zereys ta zerfay.

もちろん、人々はゼムナリアの僧侶と信者を忌み嫌っていた。


gow azi lanmas del kazosma du:bemnxe.

それでも彼らは社会の裏側で活動を続けている。


zemnariares tudas re tu+kores tus nub yanxe ers mig jabce teg .

ほとんどの国でゼムナリア信者はきわめて危険なため罪人として捕らえられる。


dog aln zemnariares ingos e+zema temsuzo.

だからゼムナリア信者はみな自分の正体を偽っているのだ。


elna vekeva ci ned zemrasiareszo wam zertos gobdon zerosazo.

エルナはなぜ忌まわしい女神を信仰するのかゼムナリア信者を理解できなかった。


now zemnariares u:tusum aralis.

だがゼムナリア信者は現実に存在する。


'novce vols" lo:sxulm wobfigle gxunogo.

「黒い狼」がなにかに気づいたようにうめいた。


"nazc...gow...ers se+gxokos cu? nafav to:g cu? now...kaksiv ci aln metsfigzo bac na:fa era se+gxon nxal..."

「まさか……だが……正気か? 考えすぎか? とはいえ、もし考えが正しいならすべての説明はつく……」


uldonsma tav bulvev li.

老人の体が震えていた。


ligs mig rxo:bilm fikus foy.

まるでひどい恐怖を感じているかのようだ。


"ers ma:to"

「中止だ」


"wob?"

「なんです?」


elna vekeva ci ned uldonsma yurfazo.

エルナは老人の言葉を理解できなかった。


"welzad be:tna ers ma:to.socum tanjuv colpo"

「山賊退治は中止だ。すぐにここから逃げるぞっ!」


"vomov savu:r!"

「待って!」


tigas garoga"

ティガスが叫んだ。


"zemgav gu+zaszo!"

「俺はグッザスを殺すんだ!」


"ne+do!"

「駄目だっ」


uldons holtsum fancav li.

老人は明らかに恐慌をきたしている。


"vo hocaciv re.gow...kozfiv ci ned...ers decris te+sxu..."

「俺たちは罠にかけられたんだ。だが……信じられない……十六年だぞ……」


decris.

十六。


elnama a:js ers mi:fe patca.

エルナの歳と同じ数だ。


"yelnas vam a:jsle cu?"

「私の年齢に関係しているんですか?」


"jen,so:rol yas ned!"

「いまは時間がない!」


"dalfov ci ned! vomov kaksi:r!"

「納得できません! 説明してください!」


elna aboga erav giglec.

エルナは自分は頑固だと思った。


"dubemote cu? na:lzalm sxalas ta kilikole ticeto! bac bagzoto ti+cazo nxal..."

「忘れたんですか? あなたはキリコとシャラスに誓ったんですよ! もし誓いを破れば……」


"to ticate ned! zerbi+sxu tits voz kul! tom so:lo ers te+jis vim sar!"

「お前は誓ってない! 神罰は俺だけにくだる! 俺よりお前の命のほうが大事だ!」


"vo yem kilnov ned welzadle! eto mxuln!"

「私たちはまだ盗賊と戦ってもいないんですよ! あなたは変です!」


elna yujugu.

エルナが言った。


"ya:ya.yem vo kilnov welzadle! aln ers ho+caci!"

「ああ。まだ俺たちは盗賊と戦っていない! みんな罠なんだ!」


"wam?"

「なぜです?」


"munvo ers tom so:lo.ta ers kodkus fen vel.uld,kilnogiv sud zemnariaresile.savus del decris te+sxuma so:rolzo.ta..."

「お前の命が目的なんだ。そして俺への復讐でもある。昔、ゼムナリア信者と戦ったことがある。やつは十六年もの間、待ち続けてたんだ。そして……」


"tom na:fa ers se+gxon"

「お前の考え通りだ」


un ma+dun sa+gxan rxumzo reys yujugu.

一人の汚いローブをまとった男が言った。


"elna...eto vom te+jife a:jema"

「エルナ……お前は我らの大事な生贄だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る