第15話 bo:ra wel 離れ森
erig mxuln su:je.
奇妙な状況だった。
go:wis welzadma marna ers foy "tigas".
元山賊の名前はティガスらしい。(訳注 tigaは「力」の意)
ers ku+sin marna.
普通の名前だった。
gow azom wogno erig ned ku+sin.
だが彼の行いは普通ではなかった。
tsases elna ta yu:jenartisle 'ra:cus'tus.
エルナと傭兵に「仲間」として加わったのだ。
u:tusum,elna kozfiya ned tigaszo.
実際には、エルナはティガスを信用していない。
now wamfig uldons legosigi tigasma na:fazo.
だがなぜか老人はティガスの考えを受け入れた。
tigas zemges re welzadma ra:cuszo.
ティガスは山賊の仲間を殺されたのだ。
vekava ci ned uldonsma koksazo.
老人の心が理解できない。
jarciga vu+cama utovosnxe fuljarnxe ot.
昨夜は丘の頂きで野営をした。
'no:vce vols" menogo del foy.
「黒い狼」が見張りを続けたらしい。
kozfiya ci ned uldonsma tavtigazo.
老人の体力が信じられなかった。
hxamos ned foy.
疲れてはいないようだ。
sxekum elnama tav mig hxamoga li.
逆にエルナの体はとても疲れていた。
"tav su:je era van cu?"
「体調はどうだ?」
"van.mende era ned"
「大丈夫です。問題ありません」
"ers o:zura"
「嘘だな」
tigas yujugu.
ティガスが言った。
"eto rxafsa.resama tav batsowa reysule"
「お前は女の子だ。女の体は男とは違う」
elna duyfum bilega.
エルナはわずかに苛立った。
teminum cod reys omkozfis ned cu?
本当にこの男は裏切らないのだろうか?
kosoztum tigas erig rxa:fe.
意外にティガスは若かった。
a:js ers decak.
歳は十八だ。
ers ku+sin caf gow tav era mig ga+dits.
顔は普通だが体がひどくたくましかった。
ta ers fon 'no:vce vols' sar.
それに「黒い狼」より背が高い。
"to mavto temin kads ta tans cedc"
「あなたたちは本当の父親と息子みたいに見えます」
"da:vka:r ned"
「冗談を言うな」
uldons yujugu.
老人が言った。
"ya:ya.yuju:r ned zadluhomice yurfazo"
「そうだ。失礼なことを言うな」
tigas wamfig meges.
ティガスがなぜか怒った。
"'no:vce vol' ers mig go+zun yu:jenartis.lencoto ci ned azel"
「「黒い狼」はとても強い傭兵なんだ。俺と比べるな」」
"mato:r"
「よせ」
uldons zadfikucum yujugu.
「老人が不快げに言った。
"go+zun reys? fensum wons ze:mgazo kul.dubemote ze:mgan re vel ra:cusizo cu?"
「強い男? 俺は人殺しが得意なだけだ。俺に仲間を殺されたのを忘れたのか?」
tigas santuga.
ティガスが黙り込んだ。
aboga 'no:vce vols" a:valm fikuwa dew cafzo.
「黒い狼」は二つの顔を持っているように感じられる。
uldons yujugu had tarsefnxe 'erv dusonvav kilnozo".
老人はあの酒場で『俺は戦いが嫌いだ』と言っていた。
now,holtsum elogo li kilnozo.
だが、明らかに戦いを楽しんでいたのだ。
teminum uldons dusonves foy kilnozo.
本当に老人は戦いを嫌っているのかもしれない。
gow elos set kilnozo 'no:vce vols' tus.
しかし「黒い狼」として戦いを楽しんでさえもいる。
cod uldons avas a:mofe he+goyazo.
この老人は多くの矛盾を抱えている。
ers zoltice ta tendas.
臆病だが大胆だ。
dog socum tsasas ra:cusle tigas cedc ja:min reyszo.
だからすぐにティガスのような敵対していた男を仲間にしたりする。
elna sorc nafa eldanin yu:jenartis zems fog foy set.
エルナはときどき老いた傭兵は死にたいのだろうかとさえ考える。
jugafe wogno ers a:mofe to:g.
無茶な行動が多すぎるのだ。
vekava ci ned yem 'no:vce vols'ma na:fazo.
いまだに「黒い狼」の思考が理解できない。
payu col era bo:ra wel.
すでにここは離れ森である。
now elna sxala ned welma cod la+taszo.
だがエルナは森のこのあたりは知らなかった。
do:bun hu:ni elw da:lo sxocuva li.
太いブナやナラが生えている。
sxala a:mofe gurfi tsosowa li welnxe.
彼女は森にはたくさんの獣が住んでいるのを知っている。
sorc carega li nan rxukma elw ranvfe sxa+siszi yuridtse.
ときおり大きな鹿や凶暴な猪を魔術で狩っていた。
gow ca:ra to:g demiga re sxumetisale.
しかし狩りすぎは師匠に禁じられていた。
rxobiga teg wel ta milma zerosa,welsionmilisma me+gazo.
森と泉の女神、ウェルシオンミリスの怒りを恐れたのだ。
zerosama me+ga era fo:marna jod erestse.
女神の怒りはその凄まじさで有名である。
me+gan welsionmilis zemges del a:mofe reysizo zelbi+sxutse cez.
怒ったウェルシオンミリスは多くの人々を神罰で殺してきたという。
dog 'ca:ra to:g' yenis zemnozo.
だから「狩りすぎ」は死を意味する。
sxumetisa kul me: ca:ran gurfima di:kzo.
師匠だけが狩った獣の肉を食べた。
elnama ma:su ega: mig torce.
エルナの食事はとても貧しいものだった。
sxubafe ma:su ega: asiylu.
主な食事はアシル豆である。
asiyluma pa+dik ye gojma chagfe pe+sxenxe.
アシル豆の畑は小屋に近い場所にあった。
sxumetisa zecoga elna yem ega: gxafsa so:rolnxe ot.
師匠はエルナがまだ幼女だったころは手伝ってくれた。
gow,elna bamdum tega ma:suzo e+zetse.
しかし、エルナは基本的には自分で食料を得ていたのだ。
lakava re sxumetisale cu?
師匠に愛されていたのか?
sxumetisa tsas yujugu,"aln ers yuridusma o:jasgo tsem.
「すべては魔術の修行のため」と師匠はいつも言っていた。
ers ned aln metsfig ers o:zura.
なにもかも嘘、というわけでもない。
now,ers ned la:ka.
だが、愛ではなかった。
elna lagt aboga.
エルナは改めて思った。
lakava re ned sxumetisale.
私は師匠に愛されていなかった。
uldons yujugu,ozurato e+zele.
お前は自分に嘘をついている、と老人は言っていた。
jod yurfa ega: se+gxon.
その言葉は正しかったのだ。
gow,jen payu erav ned budnes.
しかし、今は惨めではない。
"alova"
「ありがとうございます」
novek cuches.
思わず言ってしまった。
"wam? rapdasum..."
「なんだ? いきなり……」
uldons tires foy.
老人は驚いたようだ。
"eto mxuln rxafsa"
「お前は妙な娘だな」
yu:jenartis neces.
老人は微笑した。
fikuwa asmin wobfigzo 'no:vce vols'po.
暖かななにかを「黒い狼」から感じる。
"sxumetis! tsas resa era mxuln!"
「師匠! 女っていつも妙なもんですよ!」
tigas yujugu.
ティガスが言った。
"savu:r"
「待て」
uldons badum kotsogo cafzo.
老人は苦い顔をした。
"nap ers sxumetis cu?"
「誰が師匠だって?」
"melrum,eto vim artisma sxumetis!"
「もちろん、あなたは俺の剣の師匠です!」
"da:vka:r ned"
「冗談じゃない」
uld yu:jenartis meges foy.
老傭兵は怒っているようだ。
"ers ned gxa:ma pa:so.dubemote cu? kilnoto fa foy go:wis ra:cusle"
「これはガキの遊びじゃないんだ。忘れたか? お前は元の仲間と戦うことになるかもしれんのだぞ」
"...menxav.pxahav to:g foy.gow,joyinov li tom go+zusle"
「すみません。はしゃぎすぎたみたいです。あなたの強さにあこがれているんです」
"joyino:r ned honef wognole.yu:jenartis zemgas reysuzo.ers aln"
「そんなものに憧れるな。傭兵は人を殺す。それがすべてだ」
tigas ers duzmayi je.
ティガスは不満そうだ。
ers foy mig safin reys.
ひどく単純な男らしい。
elna teminum dusovava reysuzo.
エルナは本当に男を嫌っている。
minjabis sup tigaszo vekeva ci ned 'no:vce vols"ma na:fazo now.
「黒い狼」の考えはわからないが、ティガスを用心すきべだ。
solsos fayus welma weltce fo:jitpo cedc.
陽光が森の緑の天井みたいなところから入り込んでくる。
si+kan sewr bxuwogo sxo:rima mansadzo.
さわやかな風が木々の間を抜き抜けた。
ers mig finfon socmin.
とても平和な光景だ。
gow rapdasum yu:jenartis yujugu.
が、突然、傭兵が言った。
"ers ja:m"
「敵だ」
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