第三話『私が一番の』
妖精さん:「……なんで?」
おっさん:「作者の脊髄が勝手に執筆したそうです」
妖精さん:「……そっか……」
おっさん:「おっさんのdie冒険ですが、当初は妖精さん一人のヒロインだけで最後までいく予定もあったそうです」
妖精さん:「……なんでふえたの?」
おっさん:「物語前半で悟ったそうなのですが、無口ヒロインは執筆していて厳しかったそうです。特に私が一人行動をしている際の進行が……」
妖精さん:「……おつかれちゃん……」
おっさん:「なので今回のテーマは、もしもヒロインが一人だったら! 一体どうなっていたのか!!」
妖精さん:「……自然な導入だね」
◇
――――私がヒロイン――――
場所はとある宿屋の一室。
「妖精さん」
「……なに……?」
「ちゅーして下さい」
「……前回の引きずってるね……」
「ちゅー」
「……やだ」
「では膝枕と耳掻きをお願いします」
「……そういう企画だから、いいよ」
おっさん、ふとももにふにっと。うん、気持ちいい。くんかくんか。
「……息、しないでね」
「早速殺しにきてますね!!?」
「……恥ずかしいから……(ぷいっと顔を背けて)」
「!!?」
「……耳掻きするから、右側むいて……」
「はいっ!!」
ほっぺたに当たる、妖精さんの柔らかふともも。黒オーバーニーソの質感も相まって、天にも昇る心地よさです。
「……やるよ……(耳掻き棒グサッ)」
「ぎゃー!? 予想通り!!?」
『死にましたー』
◇
場所は教会。時刻は夜。
「オッサン、今日もお疲れさまです」
「エルティーナさんもお疲れさま」
魔石灯一つが灯る部屋の中、エルティーナさんと向かいかって安いお酒を飲んでいた。
「オッサンにはいつもお世話になってばかりなので何かしたいのですが、何かしてほしい事はないですか?」
「特に無い……と言えたら格好よかったのでしょうが、耳掻きをしてほしいですね」
「いいですよ。さあ、どうぞ(ベッドに腰掛け、膝をパンパン)」
「は、はいっ」
ほじほじ……
ほじほじ……
『眠りましたー』
◇
場所はとある山小屋。
「ふぅっ、今日は獲物がたっくさん捕れたわっ! 今日はちゃんといい子にしてくれていたのねっ!」
「アリスさん、お帰りなさい」
「もうっ、リアって呼んでっていってるでしょっ! 確かに最初は殺すつもりで連れてきたのだけれど、今はもうそんな気はないわっ!」
「で、ですが……」
「暇な時間はずっと勇者様の要望も聞いてあげてるし、いっぱい愛でてあげてると思うのだけれど、まだ信じてくれていないのかしら……」
「そ、そんな事はないですよリア!」
「うふふっ、そうよね。今日はなにしてほしい? えっちな遊び? そ れ と も 新鮮な腸で縄跳びなんてどうかしらっ?」
「えっち……! …………ではなく、どちらも結構です」
反射的に答えてしまいましたが、それでは企画倒れ。それにしてもこのナターリア、ノリノリです。
「あら残念。……あっ、さっき偶々手に入れたのだけれど、耳掻きなんてどうかしら?」
「おお、いいですね」
「んっ、それじぁあわたしの膝に寝転がってくれるかしら?」
ふにっ、やわらかやわらか。
ほじほじほじほじ……。
「そういえば、勇者様から知らない気配かするのだけれど……」
「き、気のせいじゃないですかね?」
「そうかしら……わたし、この感覚のお陰で今まで生きてこられたのに……」
ほじほじほじほじ……
「耳掻き、気持ちいい?」
「は、はいっ」
「よかった。……けど勇者様、なんか緊張してる?」
「そ、そうですか……?」
「大丈夫、勇者様はあの人みたいに処理しちゃわないからっ! こうして勇者様と生活するようになって、もう二ヶ月。まだ信じてくれていないのかしら……」
「そっ、そんな事はないです……!」
「そうよね……あっ、反対もキレイにしてあげるわ」
「は、はいっ!(寝返りごろり)」
ほじほじ……。
「あっ! 勇者様から感じるこの気配……昨日山に迷い混んできたアイツのだわっ! 勇者様、あの人とは何もなかったって言ってたけれど……ほんとーに?(耳元で囁くように)」
「……ビクンビクン」
「まっ、いいわ」
「いいのですか?」
「勇者様がえっちなのは知っているし、わたしはそんな勇者様が大好きなんだもの」
「そ、そうですか」
「それに勇者様。人里に顔を出せないわたしが今日、なんで偶然、人の道具を入手できたと思う?」
…………?
「勇者様はもう、アイツの事を気にしなくってもいいのっ! だから、わたしだけの事を考えてくれると嬉しいわっ!!」
「…………(マナーモードおっさん)」
「うふふっ。だから、わたしはアイツの心配なんてもうしていないわ。勇者様も、わかってくれたでしょ?」
「…………(ガクガク)」
「勇者様はずーっと……永遠に、わたしとここで暮らせるわね(耳元で囁く声)」
………………おっさんdie冒険、トゥルーEND。
◇
場所はとある宿屋の一室。
「ふんっ。ご主人様、今日のハグをしてくれ(ぎゅっ)」
『死にましたー』
「それで、今日は冒険の仕事とやらは休みなのか?」
「はい。指名依頼も無いですし、ゆっくりしようと思ってます」
「そうか」
ハグさえ無ければ普通に美少女なシルヴィアさん。そんなシルヴィアさんに力を貸して貰いながら、おっさんは冒険として活動しておりました。
数々の、高難易度依頼を達成し、順風満帆の異世界ライフ。欠点があるとすれば一日に一度、シルヴィアさんのハグで死んでいる事だけ。
山頂に辿り着いたおっさんはシルヴィアさんの、「まさか……目的は私なのか!?」という問いにイエスと答え、なんやかんやとすごい色々とありつつも、ハグを条件に力を貸してくれる事となったのです。
「ふんっ。何もないと暇なだな。もう一度ハグをしてもいいか?」
「いえ……あっ! そんなに暇なのでしたら、私の耳掃除をしてはくれまそんか?」
「……舌で舐めればいいのか?」
「……ッッ!! 魅力的過ぎる提案ですが、死んでしまう未来しか見えないので、止めておきましょう」
「そうか」
「なのて今回は膝枕をして、このサタンちゃん特性の耳掻きで耳掃除をおねがいします」
「ん、了解した」
ひんやり、ふにふに。
ほじほじ……
「……ッッ!? くっ……! あっッ!!」
「む、痛かったのか?」
「い、いえ、その逆です。何処でこんな技術を身に付けたのですか?」
「ふふん、私は元から何だって完璧にこなせるぞ。こんなのはどうだ?」
「うッおっほっ!? そ、そこは……!! ら……らめてえええ――!!」
「変な声を上げるな。ほらっ、次は反対側を
やってやるぞ」
「し、シルヴィアさんのふとももを堪能する暇がないです」
「ふんっ。別に耳掃除か終わってから、好きにすればいいだろう」
――――◇――――
妖精さん:「……あたしが、一番だったね」
おっさん:「順番の話ですよね??」
妖精さん:「…………」
ナターリア:「うふふ、勇者様を独り占め出来るなら、こんな未来もありだわっ!」
おっさん:「完全にペットポジションなのですがそれは……」
ナターリア:「嫌だったのかしら……(涙目上目遣い)」
おっさん:「うっ……嫌ではないです。リアがもう少し他の人にも寛容になってくれればかなり良い展開ですよ」
シルヴィア:「ふんっ。児戯だな」
おっさん:「意外ですが、エルティーナさんに次ぐ良妻っぷりでしたよシルヴィアさん」
シルヴィア:「まぁこの世界、無理をしなければ私だけでも有名冒険者くらいにはなれる」
おっさん:「つまりそれでモテモテに!!?」
シルヴィア:「それは無い」
おっさん:「何故!!?」
妖精さん:「……毎日溶けてるから……仕方ないね」
おっさん:「ところで次回は」
妖精さん:「……さあ」
おっさん:「ふとももトークをしていませんよ」
妖精さん:「……百人に99人が引いちゃうよ……」
おっさん:「では、変態と呼ばれると悲しいけど、えっち! と言われると嬉しいという話でも……」
妖精さん:「……それ、さくしゃが友達と話して『その発言がまず変態だな?』っていわれたやつ……」
おっさん:「悲しいみ」
妖精さん:「……万人共通のだと思ってたのは、さくしゃとロリコンだけだよ……」
おっさん:「私はロリコンじゃないですが……悲しいみ……」
……次回はあったりなかったり……!
基本的には無いです!! 前回も次回は無いと思ってました!!
へんたい、よくできました。 龍鬼 ユウ @Nikolai-2543
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