第52話何百年も続く茶番劇

「ねぇ?博士?」


「ん?どうした?イブ?」


俺の目の前に立つ、この世界の創造主・イブ。

大天才なんて言われていた俺だけど、イブに比べるとゴミクズみたい。

ほんと、こいつは・・・『人間』という陳腐な枠を超越した存在だ。

そう・・・・偶然出会えた・・・始まりの物質・・イブ。


「ね!前から思ってたんだけど・・・博士って・・何がしたいの?」


「ん?俺のしたい事か・・・ま、この人生なんて、タダの暇つぶしだからな!ホントそう思うし・・・。

ただ、言えることは自分の心がしたい事をする事かな?そうしないと、その内自分の本当の心の声が聞こえなくなるし・・。


「・・・?」(意味わかんない!)


イブは頭のかしげて俺の方を見ている。

そうだよな・・わかるわけないよな・・。


「人間の精神には段階があってな・・生まれの悪さ・病気・身近な人の死・あとは・・・戦争なんかがある国に生まれた人達は、ほかの安全ボケした人達より精神が上に行くんだよ!

・・・これは実際に経験した人しか行けないけど・・・ま、全然違うんだ・・・目や顔を見れは分かる!・俺は・・俺の父・・・父さんが死んだときにそれを悟ったんだ・・・。

最愛の・・・俺の才能を最初に認めてくれた人・・・。その人が目の前で死んで・・俺には抱きしめる事しか出来なかった・・・その時父の感情が全て俺に流れて来たんだ・・・その時全てを理解した」(マズローの法則的なやつな!)


「・・・・?」(意味わかんない!)


イブは真剣な表情で俺の顔を見ている。

人間じゃないから・・・人間の表情に興味があるのかも知れないな。


そう、あの時・・・。

誰もが何ものでもない時。

俺もそうだった、人と違う才能を持って生まれたから・・。

他人から好奇や、僻みの目で見られていたあの時。

幼なかった俺にはどうにもできなくて・・・でも父だけが俺の事を認めてくれた。

母は他の子と違う俺を、疎ましく思っていたようだしな。


「本当に・・心から愛した人を目の前で喪失した人だけが・・・人として完成するのかも知れない・・。

でも・・これは経験した人しか分からないと思う・・父が死んで・・最後の別れの・・ボタンを押す時に・・・一瞬、目眩がしたよ!・・『喪主の方・・ボタンを押してください』ってさ・・・。

最後・・・そう、最後・・これが・・・俺が愛した最愛の人との永遠の別れ・・・そして俺はボタンを押した・・・押した後、俺はみっともなく、人の目の憚らずに俺は泣いたよ!女々しい奴さ!当たり前だろ?父さんが居なかったら、今の俺は無かったんだから!」


そうだよな・・分からないと思う。

若い時には、わからないけど・・・歳を重ねると必然的に増えるからな・・最愛の人の死は・・・。

この世界に生きる全ての人に必ず訪れること・・・。

本当に苦しい・・何度もぶり返す・・・嘘の様なホントの現実。

歳を重ねても、心は強くならなくて・・・人の目を避けて何度も俺は泣いた・・・。

その時・・遥と出会えたんだったな・・・懐かしい・・・遥・・寂しいよ・・・なんでお前まで・・。


「寂しいな・・・遥・・・会いたいよ・・・」


俺は遥の笑顔を想い返した。

陽だまりの様な、無機質な俺を癒してくれる、遥の笑顔。

いつまでも続くと思っていた、この笑顔が、俺は・・・、毎日続く事が当たり前だと思っていた。


でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


嘘のように・・・・突然、終わりは訪れた。


分かっていたはずなのに・・。

当たり前の事なんて何もなかったのに・・・。



昨日と同じ毎日が続くわけがない。

今日食べた食べ物が、約28日後の自分になる(ターンオーバー)

細胞も、バイオリズムも毎日変わる事が当たり前。

変わる事が当たり前・・・。


どこかで変わらないで居れるのは、誰かが努力してくださるから・・・。

そんな当たり前の事にも、誰も気が付ない。


「・・・いつも思うんだ・・・今日食べた命以上の価値を、俺はこの世界にもたらす事ができたのだろうか?って・・。」


人間だけが特別ではない!

自分のパフォーマンスだけに終始する政治家。

お金を払って、テレビ局にお金を落として自分だけが輝く腐れ政治家。

利益を得るのは腐れ政治家と、腐れ社長だけ!

働く人たちはくだらない毎日のルーティーンに飽き飽きしている。

人相を見て見ろよ!醜悪だろ?俺は見ればすぐわかるよ!こいつはこんな奴だなって!


誰が幸せになったのだろう?

誰かが心の底から笑えただろうか?

わかってるよな?誰も救われていない!

誰も解放されていない!・・・ホントくだらない!


支配するのはわかるんだ・・・自分の子供や子孫が可愛いから・・。(お金や力を次の自分の子孫へつなげたい欲求・世襲制)

でも憎しみや暴力で支配しないで欲しい・・・。

どうせなら・・・幸せで支配してほしいよな!

そう思わないか?俺はそう思うんだ!

人々を心から満たして欲しい、それなら皆・・・支配者に喜んで力を貸すと思うし・・。


誰かいないかな?そんな人?

俺の周りに?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

居ねーな!ゴミばっかだな!


しょうがないな!誰もいないなら・・・俺が創る!

この日本に・・・いやこの世界に・・・。

俺がなる!この黄金の国日本に・・・。

俺が一番?馬鹿言えよ?この国の人々が主役さ!当たり前だろ!

俺なんて只のゴミさ!楽しくしようよ!どうせ皆死ぬ、命のサイクル。



何百年同じゴミみたいな景色をみてきだんだろう?

ホント、ゴミクズの見飽きた景色。

茶番劇、誰も救われていない・・。

自分の心も満たせない奴が、自分以外の人の心を満たせるのだろうか?


自分が世間に放つ言葉の意味も分かってない!

ラリってるんだろうな!自分言ってる言葉さえ理解していないんじゃないか?


別に目立ちたいわけじゃない!

・・・・でも・・・このままじゃ・・・。

皆ゾンビさ!意味が分かるか?

なぁ!君は万物の声が聞こえるか?俺には聞こえるんだよ!

何でだろうな!そんな特別な力俺にはいらねーよ!

めんどくせーんだよ!わかんだろ!俺は遊んで暮らしたいんだよ・・・。


めんどくさ!・・でも・・走るとするか!次の世代の日本の子供の為だ!しょうがねーな!


金?要らねーよ?んなもん、ゴミだろ?(紙・紙幣?タリースティク・木のお金・ゴールドシュミット的な?兌換紙幣?只の物々交換の為のテクノロジーだろ?要らねーよ!ゴミだろ!?そんなもん!)

いいね?いらねーよ?んなゴミ!誰にも認めてもらわなくても精神崩壊しないから!大丈夫ですだよ!あーはん?

認めて欲しい?いらねーよ!んなゴミ?


「博士?」


「ん?ああ、大丈夫だ!俺は・・・分かったんだ!あの時に父さんが死んだときに・・・。でもイブ・・お前と出会えてホントに良かったよ!ありがとう!」


「・・いいよ・・・。私のパパだから・・・私こそ・・博士が居なかったら・・・」


イブは俺の近くに歩いてきた。

俺はその姿と表情が愛おしくて、イブを抱きしめた。

ああ、ものすごい力と才能を持つ・イブ。

それでも・・・俺を父の様に慕ってくれるそれだけが・・・。

ああ、イブ・・大切にするよ!男?女?そんなもんどうでもいい!

俺を慕ってくれる全ての人々の報いなければ・・・。

そうしなければ・・俺はゴミさ!

先輩風を吹かせたいのなら、吹かせるだけの成果をその組織にもたらさないといけない。

当たり前だろ?売り上げの組織と予算型の組織だ、永遠に相いれないのと同じことさ!

構造的に無理な話だよな!俺はどっちかと言うと売上型の人間だし!


人生なんて「本」だよ?

毎日の経験知を日記みたいにページに綴ってな。

ポンチ(紙に穴を開ける奴な!)で穴を開けて本にしていく。

ちょっとずつ、少しづつ一冊の本へ!


でも、勘違いしないで欲しい!

親から言われて勉強ばっかりした本が面白いとは限らない。

薄い・・・ほんとペラッペラの本が面白いこともある!

やっぱり経験知を貯めるなら、面白い方がいいよね!


「・・・さてっと!ライフも寂しがってるだろうな!少し遊んでやるか!」


「博士?行くの?」


「ああ、タダの暇つぶしだよ!ライフをちょっとおちょくるだけさ!

アイツ・・・どんな反応するかな?楽しみだな?」


俺はそう言って、部屋にある扉を押し開いた。

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『ジョブ・ガチャ』 ~300000000に一人の僕~ 主戦・D @kazu1234

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