第13回 司馬倫、帝位を奪う

 漢文大系本、第3巻、ページ。

 西暦301年。


 倫自加九錫、逼帝禅位。党与皆為卿将、奴卒亦加爵位。毎朝会、貂蝉盈坐。時人語曰、「貂不足、狗尾続。」斉王冏鎮許昌、成都王頴鎮鄴、河間王顒鎮関中。各挙兵討倫。倫伏誅。


 倫、自ら九せきを加へ、帝にせまりて位をゆづらしむ。党与、皆な卿将と為り、奴卒も亦た爵位を加ふ。朝会ごとに、てうせんつ。時人の語に曰はく、「てう足らず、続く」と。斉王けい、許昌に鎮し、成都王えいげふに鎮し、河間王ぐう、関中に鎮す。各〻おのおの兵を挙げて倫を討つ。倫、誅に伏す。


 司馬倫は、自分で自分に九せきを与え、恵帝に迫って位を譲らせた。かれの仲間は、みな卿や将となり、召し使いや兵卒も爵位をもらった。朝廷の会議のたびに、議席はちようせん(高官の冠につけるてんの尾と金細工の蝉)でいっぱいになった。当時の人々は、「てんが足らずに、犬の尾が続く」と言った(爵位を乱発したのでてんの皮が大量に必要となって不足し、犬まで使われるようになったとの意を、凡庸な人間まで採用されていることにかける。「足」と「続」と押韻)。斉王のけいは許昌を拠点にし、成都王のえいぎようを拠点にし、河間王のぐうは関中を拠点にしていたが、それぞれ兵を挙げて司馬倫を討伐した。司馬倫は、誅殺されてしまった。

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