番外編 管寧、席を割く

 『十八史略』の管寧の記事があまりにも少ないので、『もうぎゆう』から「かんねい割席せきをさく」の故事を引いて載せる。『もうぎゆう』も子どもむけに史話を集めたものなので、『十八史略』と並べても釣り合うだろう。


『世説』、「管寧、字幼安、与華歆共園鋤菜。見地有金。寧揮鋤、与瓦石不異。歆捉而擲之。又嘗同席読書。有乗軒冕過門者。寧読書如故。歆廃書而看。寧割席分坐曰、「子非吾友也。」寧・歆・邴原俱遊学、三人相善。故時人号為一竜。謂寧為竜頭、原為竜腹、歆為竜尾。」


せつ』に、「管寧、あざなは幼安、くわきんと園を共にし、菜をく。地にきん有るを見る。寧、すきふるひ、ぐわせきことならず。きんとらへて之をなげうつ。かつて席を同じうして書を読む。けんべんに乗りて門を過ぐる者有り。寧、書を読むこともとのごとし。きん、書を廃してる。寧、席をを分かちて曰はく、「が友にあらざるなり」と。ねいきんへいげんともに遊学し、三人相ひ善し。故にじん号して一竜とす。ねいひて竜頭とし、げんを竜腹とし、きんを竜尾とす」と。


せつしん』にいう。管寧は、あざなを幼安といい、きんと同じひとつの菜園で土を耕していた。そのとき、地面に金があるのが見つかった。管寧はすきをふるいつづけて、瓦や石を見るときと変わらなかった。しかし、きんはひろってみてから投げ捨てた。またあるとき、同じむしろに座って本を読んでいた。そのとき、けんべんに乗って門の前をすぎる者があった(けんは車、べんは服で、いずれもたい以上の高官に許されたものであるが、ここの「べん」は実質的な意味をもたない)。管寧はもとのとおりに本を読みつづけていた。しかしきんは本を読みさして見にいった。管寧はむしろを割き、居どころを分けて、「あなたは私の友ではない」と言った。管寧・きんへいげんは、ともに遊学した経験があり、三人とも仲がよかった。それゆえ、当時の人は「一竜」と呼び、管寧を「竜頭」、へいげんを「竜腹」、きんを「竜尾」と呼んだ。

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