第9回 猛獲、七たび捕らわる

 漢文大系本、第3巻、66ページ。

 西暦225年。


 ◯南夷畔漢。丞相亮往平之。有猛獲者、素為夷漢所服。亮生致獲、使観営陣、縦使更戦、七縦七禽、猶遣獲。獲不去、曰、「公天威也。南人不復反矣。」


 ◯なん、漢にそむく。じようしやう亮、いて之をたひらぐ。猛獲なる者有り、もとよりかんの服する所とる。亮、生きながらにして獲を致し、営陣をしめ、はなちて更に戦はしめ、七たびはなちて七たびとりこにし、ほ獲をる。獲、去らずして曰はく、「公は天威なり。南人、そむかず」と。


 ◯南方の蛮民が漢に背いた。じようしようの諸葛亮は征伐に向かい、それを平定した。猛獲という者があり、以前から南夷にも漢人にも服属される身であった。諸葛亮は猛獲を生け捕りにし、陣営の内を見せてやり、解放してまた戦わせ、七たび放って七たび捕らえ、さらに猛獲を放してやろうとした。猛獲は去ろうとせず、こう言った。「あなたは天からの脅威です。南人は、二度と背きません。」

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