あの日、あなたに会えたことが。

@asari_m

第1話✳︎出会い✳︎


高校生って何でこんなに怠いんだろう。


そんな事を思いつつ、朝の満員電車にすし詰め状態にされながら毎日学校へ登校する。

女子校に通う末永あさり17歳である。


「おはよー」

「あさり、おはよー!って大丈夫?顔色悪すぎ」

そう笑顔で話しかけてくるのは、私の親友末松百合である。同じクラスで、私の後ろの席が百合の席である。

「朝からサラーマンに挟まれて、最悪。汗だくだよ?もー本当無理!」

「分かるー!夏の電車って地獄だよね。」

そんなことを話しているうちに担任がやってきた。

「ほらあなたたちー!静かにーチャイム鳴ったの聞こえませんでしたかー?今日は体育館で終業式なので、廊下に二列で並んでくださーい!」と、普段声が小さい担任が頑張って大きな声を出しながら皆んなを誘導しようとするが、誰も聞いてない。

「早くならびなさーい!終業式が始まりますよー!」その声で仕方なく徐々に生徒が廊下に出る。

「まじ担任だるー。ねー百合夏休み何する?どこ行く?」と目をキラキラさせながらあさりが百合の予定を聞き出す。

「えー!?海とかー?行っちゃう?」

と二人でキャッキャと話しているとクラスのムードメーカー、高嶋まりが話に割って入ってきた。

「ちょっとそこのお二人さん♡なんの話!?海いくのー?まりも行きたい!」

そんなまりを横目に、

「まりも行きたいのー?仕方ないなーじゃあ3人で行っちゃう!?」


「「けってーい!」」

あさりとまりが声を合わせてはしゃいでいた。


「そこ!!!しーずーかーに!」

今が終業式の最中だということを、すっかり忘れていた3人は、担任に小さな声で注意をされてしまった。

『注意されちゃったね。また、後で話そ!』

とまりがいい、自分の出席番号順の場所に帰って行った。


あさりは、初めての海に胸が高鳴っていた。



長い長い終業式がなんとか終わり、

自分たちのクラスに皆んなが戻っていく。


あさりの心の中では、

(早く百合とまりと海の計画立てたいなー。でもお金ないからバイト頑張らないとなー。)


あさりの脳内は、夏休みで頭がいっぱいである。


そんなあさりを見ていた百合が、

「ね、あさり!どこの海にしよう?やっぱ綺麗なとこが良いけどお金ないしなー近くの海汚いよね」

と、百合がとても渋そうな顔でこちらを見てくる。クラスに戻る間の少しの時間、担任には気づかれないように小声で話していた。

クラスに着くなり、担任はなるべく大きな声で喋り始めた。


「はーい!皆さーん、居ますねー?後は通知を返して、貰った人から帰って良いですよー!」

ザワザワした教室の中では担任の声は通らず掻き消されてしまいそうだった。

皆んな担任の話は聞いて居ないはずなのに、

自分の名前が呼ばれるや否や、自分の通知表を取りに行くのだから驚きである。

「」



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