二度の悲劇と喪失を経て、逆境を切り開く王道ハイファンタジー!

主人公の少年、ロベルクは、両親が森妖精でありながら人間との混血の姿で生まれたため、同族から「不吉の子」として迫害されます。
これに起因して、2度の喪失体験をします。

一人目は、唯一心を許した義姉ラルティーナ。ここはそこまで詳細な描写はないのですが、二人目の愛する同居人ミゼーラを「妖精狩り」によって失うシーンは読んでいてとても悲しかったです。ミゼーラを失ったことで、ロベルクの「怒り」と「喪失感」が氷の王シャルレグの暴走という形で表現されていて、壮絶な断罪シーンとなっていると感じました。
その後傷心の主人公の心が、ヴィナバードという自由の街で再び熱を取り戻していく様を描く王道のファンタジーです。彼が過去の喪失を乗り越え、生きる意味をまた見つけられるのか、続きが気になる作品です。

その他のおすすめレビュー

ひつじ メイさんの他のおすすめレビュー96