第8話 前世と今との記憶共有

「んんっ...ここは?」

スナネコが目を覚ますと、全方位が真っ黒でキラキラと輝いている空間に浮かんでいた。

「確かボクはセルリアンに食べられて...まさかここはセルリアンの中?」


「...そうよ」

その声と共にスナネコに黒い人影が迫ってくる。

「!?...だ、誰ですか?」

スナネコは動揺した。それはここに他の誰かがいた事だけではなく、その声がどこか自分の声と似ていたからだ。

「私?私はまぁ...アナタになる前のアナタというか...アナタじゃないけどアナタでもあるっていう感じね。」

「よく分からないです。」

スナネコはポカンとした顔でそう答えた。

「そうよね。まあ私はあなたの持っているギターのずっと昔の持ち主で、今はどういう縁かあなたとそのギターに宿っている輝きといったところかしら。」

スナネコはポカンとした顔のまま首を傾げている。

「輝き...?聞いたことはありますが...?」

黒い人影はスナネコのその仕草に見とれていたのか、少し間が空いてから慌てて答えた。

「あっ!えっとね、ここでの輝きは私の記憶よ。あなたの中には私の記憶の一部が眠っていた。そしてあなたがあのギターを拾ってくれたおかげで私の記憶が全部揃った。その後何かしらの刺激があって私の記憶はあなたの輝きになったのよ。」

「なるほど...あっ!」

スナネコには心当たりがあった。もしかしてツチノコが聴かせてくれたあの『うたのもと』が刺激になったのではないのだろうかと。

「もしかして『うたのもと』のこれが!」

そう言いながらスナネコはギターを弾き出した。遺跡で演奏した曲を。


〜♪〜♪〜♪...


「そう!それは私の...いや、今はあなたの曲ね!」

黒い人影は嬉しそうな口調で答えた。

「やっぱり!」

スナネコも嬉しそうに答える。

この時スナネコは自分の体から虹色の光が漏れ出ていることに気づいていなかった。そしてこの空間にヒビが入っていたことも...

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Cat CODE ~砂漠から始まるメロディー~ ELEC VULPES @elecvulpes

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