嚇し鬼
安良巻祐介
色鮮やかな賑やかし火を吐きながら回る南国の嚇し鬼の面。観光地で強盗除けにと買って以来、押入れの奥で埃をかぶっていたそのお土産を、ほんの気まぐれで引っ張り出して来て床の間に据えていたら、いつの間にか手が生え足が生え、畳の上に腰を据えて、逆牙の間に煙管など咥えてプカプカやりながら、「鬼は豆にも外ならず、内なる鬼は豆要らず」等々、他愛のない事々を喋るまでになった。最初のうちは元に戻そうと躍起になっていたが、そのうち疲れ切って、また嚇し鬼の面に意外と愛嬌のあることもわかってきたため、今では飯と洗濯と火の番を交代でやることを条件に、奇怪至極な居候との呑気な暮らしを楽しんでいる。
嚇し鬼 安良巻祐介 @aramaki88
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます