この病棟には、複数の患者が隔離されています。彼らを蝕む病は、俗に奇病といわれる稀なものばかり。病に侵された彼らを護り、安らぎをもたらすべく病棟があるのか。それとも彼らを幽閉する檻でしかないのか。
真実は、彼らそれぞれの胸のうちにあるのみです。
ひとつだけ、確かなことは彼らの奇病は美しい。
時々互いの血液を入れ替えなければ、死に絶えてしまう姉弟。涙から蝶の痣が増え続ける娘と蔦が伸び続ける男。
奇病が繋ぐ、歪な絆もまた美しく。
カウンセラーの視点から眺めるそれらは、吐息が触れるだけでも崩れてしまうほどに繊細な、檻のなかに飾られた《芸術》のようにも想われるのです。
私はまだ《101号室》と《247号室》を覗いただけ。これからどのような患者と巡り逢えるのかと期待を寄せて、現段階では星ふたつとさせていただきます。