第6話 死者からの使い みんな心配性

夕食も終わり、自分の部屋に戻ってから、律架は今日見たことを振り返っていた。


『あの矢って、本物だったよね・・・。どういうこと?いつの時代なの?私の見間違い・・・?あの人たち・・・一体何者なの?やっぱり、あの店でバイトをするのは危険すぎるよね、さすがに・・・』


律架は今日見たとても現代とは思えない出来事について悶々と考えていた。そんなことをしていると急に部屋のドアをノックされた。


「律架?入るで?」


そう声をかけて入ってきたのは、慧だった。


「慧くん??どうしたの??」


「いや。なんも無いのは分かってるねんけど。ちょっと気になってな」


「何が?(笑)」


律架は笑いながらそう聞いたが、もう分かっていた。慧の手には聴診器が握られていたからだ。


「どうも無いことは分かってるんやけど、ちょっとな」


慧はそう言いながら律架の服の下から聴診器を当てる。


「・・・心配性すぎなんだよな」


「・・聴診中は静かに」


しばらくして、慧は納得したように律架から離れる。


「うん。元気やね」


「そりゃそうでしょ。二見先生が手術したんだからさ」


「そりゃーね。・・・あ、そういえば裕太に聞いたんやけど」


「え??何??」

「お前、アルバイト探してんの??」


「・・・はあ。言っちゃダメだって言ったのに」


「まあまあ。裕太も心配してんねん。でも、奏一には言うてへんで。」


「ほんとにもー。心配し過ぎ。もうやだ。どーせ慧くんも反対するんでしょ」


「そんなことないよ!・・・いや。危ないのは辞めた方がええと思うし、門限は守った方がええと思う・・・。でも、アルバイトとか経験するんはええことやと思うで。でも!無理するやつとか、埃が多い職場とかはあかんで、喘息出るから!」


「・・・分かってますよ」


「ならええけど。早よ風呂入れよ」


慧はそう言って部屋を出ていった。律架はため息をついた。やっぱり、あの便利屋でのアルバイトはバレたら大変なことになる。どう考えても危険そうだったし。


「やっぱ明日、もうちょっとまともなアルバイト探そ」


律架はそう呟いて、お風呂に入るために部屋を出た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Royal milk story 新人便利屋・橋場律架 小原まつり @matsuri-kohara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ