樽のなかの眠り
ほら、樽のなかでお眠りなさい
煩わしいすべてをわすれて
檸檬かしら、いえ、林檎でもいいわ
樽のなかを芳香で満たしてあげます
息を潜めて、あ、とも、うん、とも
言わないで猟犬を連れた 猟師たちが
立ち去るまで
いいえ、いつまでいても構わない
やがて涙で樽が満たされたら
言葉も忘れて悲しみも忘れて
丸く円くまるく果実のひとつになって
檸檬でも林檎でもない不思議な果実に
なれることでしょう
綺麗に磨いてあげましょう
あなたの痕跡は果実の皮に
微かに残る涙滴の微かな曇り
出荷され輪切りにされても
もう誰もあなたに気づきはしない
ほら、樽のなかでお眠りなさい
子守歌も歌いましょう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます