フウの誕生

私リイムはその名を捨て、普通の精霊として生きることを決めた・・・リイムと言う名を聞くと、ロイドの事を思い出してしまい、どうしても、彼に会えないという現実を直視してしまう為、使わなくなった・・・・


元居た絶対神の神達は結局、あれから、動きを止めていると創造神から聞いた・・・向こうの神達は絶対神中心の考えが主流だったはず、絶対神自体、こちらの世界で封じている為、旗頭が居ない為、何も出来なくなっているのかもしれない・・・まあ、だからと言って、油断は出来ないだろうが・・・


それからすぐに私は笑いの神と知識の神の子に会った


始めて、その子と話をした時は驚いた・・・本当に無知な子供の様に純粋無垢な神様だった・・・まあ、実際、知識は二人から引き継いていたとしても、生まれたのは最近だ・・・精神年齢は下手をすれば、赤ん坊と同じ・・・そうなってもしょうがなかった・・・


『・・・あの精霊さん・・・貴方の事は何て呼べばいい・・・?』


「好きに呼べばいいわよ・・・」


私の名前を聞かれたので、そう答えた・・・まあ、その結果、彼女が私を呼ぶ時、月日が経つごとに様々な呼び方になっていくのだが、そこは割愛しておく・・・


「・・・そう言えば、貴方の方は・・・?何て呼べばいいの・・・?」


『・・・うーんとね、私、まだ名前が無いんだ・・・』


・・・そうか、本来なら付けるべき、生みの親である両親はもう、消滅してしまっている・・・名前をまだ持っていないのか・・・


『だから、精霊さん・・・私に名前を付けて・・・?』


いや、それって、神同士が付けるものでは無いの?力も何も無い、ただの精霊に成り下がっている私が付けても大丈夫なの?


というより、私の名前精霊さんなんだ・・・


『うーん・・・おじいちゃんは精霊さんにお願いすればいいって言ってたから・・・精霊さんの名前は後で考えるね』


おじいちゃんって・・・創造神の事か・・・って何その信頼感・・・後、私の名前、結局決まっていないの?・・・・変な名前にならないでしょうね・・・・


結局、私は、彼女にラーフと言う名前を与えた・・・私が生まれた世界・・・転生後のロイドが育った世界の古代語で・・・太陽の光と言う意味を持っていた・・・太陽の様にこの世界を照らしてほしい・・・彼の思いを果たしてほしいそんな思いで名前を付けた・・・


彼・・・ロイドのの転生前の世界では、悪神として認識されていた様だが、場所が変われば意味が変わる・・・彼の転生後の世界での意味で大丈夫だろう・・・


彼女・・・ラーフは本当に、何も知らない子供のようだった・・・


神の啓示をどう言ったらいいのか解らないから、始まり・・・神卸の巫女を導く存在のはずが、どうすればいいか解らず・・・不要に力を与えたり、悪化しそうなアドバイスをしたり・・・本当に、知識の神の情報があるのかと疑いたくなる事ばかりいた・・・


私はその度に、昔の天智の書で手に入れた情報からアドバイスをしていき、神として何とか、立ち回れるようにしてきた・・・・・・・・・・


私今、天智の書のスキルどころか、先見の目のスキルすら持っていない状況なんだけど・・・貴方の方が有益な情報とか持っているはずだよね?何で私がアドバイスしているの?!


・・・・まあ、とにかく、100年ラーフ試行錯誤しながらも、神として立ち回りを覚えていった・・・元勇者の神卸の巫女だった彼女は、力がだんだん衰えていき、自らの子供の一人にその役割を与えた・・・・


というより、勇者の結婚相手、勇者以外とも結婚しているんだけど・・・子供も、5人ってどんだけ頑張ったのよ・・・まあ、私には関係ないけど・・・


そうして、更に月日が経ち、魔王が復活した・・・魔王を倒した、200年後の世界で・・・


創造神が、元勇者、神卸の巫女の子孫に勇者としての力を与えた・・・勇者の力、人同士は普通の人と変わりが無いが、魔物や魔族・・・魔王に対し強力な力を発揮する者・・・


私は、今回、勇者の仲間の一人と仮契約をして、魔王退治の手伝いをした・・・その時、ディーチャと言う名前で仮契約をした為、ラーフがその名前で呼ぶようになった・・・仮契約を解いたら、すぐにこの名前捨てるのに・・・いいのか?


それから、1年・・・勇者の力はすざましく、また、ロイドが、魔界に漂っている、神の力を押さえている所為か、すぐ様魔王は退治された・・・1年と言う期間は長いと思う人もいるかも知れないが、魔王が現れた時に勇者の力を与えられ、それを使いこなすのに1年と言う期間は余りにも速いと言えよう


・・・とは言え、初めて生まれた魔王の様に神に等しい力を持っていれば、勝てなかったかもしれないが・・・・・


ちなみに、勇者一行の一人・・・この時、私が契約した魔法使いマルイは、大魔法使いとしてその名が知られ、その者の名前がその時代の一番の魔法使いに引き継がれていくことになるのだが・・・・それはまた別のお話・・・


それから、勇者の力は代々引き継がれるようになっていった・・・初めから、力を引き継がれていけば、いざという時に対処できると考えられたためだ・・・それに、勇者の力は魔王や魔族には強いが、人間同士の争いには何も役に立たない・・・戦争の道具にされる心配も無いと言う思考もあった・・・


それから、魔王は200年周期に現れ、その度に勇者達がその魔王を退治していった・・・


そんな中、段々、ラーフが神として、立ち回りが解ってきた頃、創造神は、神卸の巫女としての力を持っている者を無くそうと言う提案を出してきた・・・


今まで、創造神も神卸の巫女を通じ、神の力を与えてきたが、今更ながら、それでは、完全に神の力に依存した世界になってしまう・・・だからこそ、ラーフが少し安定してきた今、そう言った提案を出したのだろう・・・


ラーフ自身、余り、まだ、生まれて500年も経っていない現状(神は数百年は子供・・・下手をすれば赤ん坊に等しい年齢)・・・まだ、速いと自分自身言っていたが、急にでは無く少しずつ神卸の巫女の力を与える者を減らしていくという、創造神の説得に、結局、ラーフは頷いた・・・


・・・代わりに、聖女と言う回復魔法に長けた力を一人の人間に与えた・・・


今までの様に神の様な力を行使する事は出来ないが、様々な人間の不治の病等を救えるほどの力は神卸の巫女ほどでは無いが、人々の拠り所になっていった・・・


これで、世界はうまく回っていく・・・最初はそう考えていた・・・・


魔界との繋がり・・・それは今でも続いている・・・その意味をきちんと理解していなかった・・・


それからしばらくの後、国の中で抗争が起きだした・・・初めは、ただ、神卸の巫女が居なくなった為、情勢が不安定なって、そう言った国々の民が抗争を引き起こしているだけだと思っていた・・・


だから、時間が経てば、情勢の自らの力で国を安定させる力を身に着け、次第に争いが収まる者だと思っていた・・・


だが、その抗争は収まらず、住民と国同士の争いは、やがて大きくなり、反乱が起き・・・果ては、国同士の争いまで起きる様になっていった・・・


何故・・・確かに、神卸の巫女が居なくなり、少しは争いは増えるという事は覚悟していたが、何故急にここまで・・・


『・・・恐らく、魔界の住民が大多数が持っていた、凶暴性、攻撃性の性質が・・・魔界と繋がっている事により、他の世界にも伝播されているのだろう・・・それが、神卸の巫女が居なくなったことにより、不満が溜まり・・・爆発・・・・・こうなる事は、予測できたはずなのに・・・すまない・・・』


そう、創造神が伝えて来た・・・ふざけないで・・・どれだけの人が亡くなったと思って・・・こんなの、平和な世界を望んでいたロイドが見たら、何て思うか・・・・


『本当にすまない・・・・』


結局、争いの種は余り無くならず・・・それは、種族間の争いまで発展した・・・そうして、争いに勝った種族が負けた種族を支配・・・奴隷にしていくようになっていった・・・


恐らく、魔界から攻撃性と同時に支配力が伝播されていったのだろう・・・日に日にその争いは激化していった・・・


・・・最終的には大多数の人口を占めていた人間がほとんど勝った、結果、人間以外の種族を亜人と呼ぶようになり、奴隷として扱う様な社会が段々出来上がっていった・・・・・


種族何て、何もほとんど変わりがないでしょうに・・・


そんな事を思うが、結局社会の仕組みは変わらない・・・そうした中でも、魔王は生まれる・・・・


魔王の力は段々強くなっていった・・・そして、封印される周期も段々短くなっていく・・・前は200年だったのが今では150年単位・・・さらに月日が流れれば100年単位になっていくだろう・・・


私もそんな中、勇者達の冒険を手伝った、様々な勇者の仲間と仮契約をし、様々な名前で呼ばれ続けた・・・それもこれも、ロイドが望んだ、平和な世界を維持する為に・・・・


だが、それも、種族間だけでは無く、人間同士でも争う様になった世界を見て、私は守り続ける意義を失い始めた・・・そして、私は、人間達から採取の対象になってしまっている、妖精や精霊達を集め、保護する立場に付き、勇者達の仲間だろうと、仮契約する事を辞めた・・・・


―――――----------------------------------


あれから・・・ロイドが居なくなって・・・どれだけの月日が経ったのだろう・・・1000年、2000年、3000年・・・それ以上?


解らない・・・だけど、私は限界を迎えようとしていた・・・いつまで経っても・・・争いが減らない・・・いつまで経っても、平和な世界の片鱗すら見えない・・・何より・・・ロイド・・・彼が居ない世界・・・私の心は限界だった・・・・


私は、少しずつ蓄えていた力をロイドの身体だったものに流し込む・・・人体錬成・・・神では無い者が生物を0から作り出す、禁忌の方法・・・


生まれる者がどの様な物か解らない・・・下手に生み出せば、世界の運命さえ変えてしまうかもしれない・・・だけど、私は我慢が出来なかった・・・・


・・・・ロイドとの思いで・・・私の中に残されたロイドの感情・・・・願い・・・・それだけで、何千年も生き続けて・・・これからも、生き続けるなんて私には・・・・


ラーフを見て常々考えていた・・・何故、私にはロイドとの子供が居ないのかって・・・ずっと考えていた・・・


あの状況で作れる訳が無い、そんな事は解っていたけど・・・思わずにはいられなかった・・・


だから、私は作り出す・・・彼との思いを形にする為に・・・例え、この世界に悪影響が及ぶ可能性があろうと・・・・・


そして、私はロイドの骸にドンドン力を与えていく・・・力を失ったとは言え、元神に匹敵する力を持ち、それに近づける様、溜めて来た力だ・・・莫大な量がある・・・そして、どんどん、力がロイドの骸に入っていった・・・そして、ロイドの身体は赤ん坊の姿に形を変えていき・・・・


・・・って・・・あれ・・・何か・・・入れた力より、力が大きくなっている様な・・・ちょっと・・・待って・・・どこまで大きく・・・


気が付くと、とてつもない力を持った、赤ん坊が空中に浮かんでいた居た・・・


それが、彼女の出生・・・初めての記憶・・・そして、始まりだった・・・・・・・・

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気づいたら神になってた?転生記 @nanigaiino

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