元の世界で・・・
「・・・嘘ですわ!!」
「ファル落ち着いて!!」
私はそう言って、自らの部屋に走っていく・・・信じません・・・兄様が帰ってこない何て・・・
兄様が別の世界の神に助けを求めて行って、すぐ、別世界の神が私達、家族の頭に話しかけて来た・・・
『貴方達の世界を我らの世界に移した・・・お主らの神の進攻・・・攻撃はこの世界に来ない様に保護をする・・・・・・だが、我らもこれから、どうなるか解らない身、過信はしない様に・・・・』
一方通行の会話・・・だけど、兄様が助けを求めた結果、上手くいった事が知る事が出来、私は嬉しくなりました・・・・本来なら、一方的な要求、断られても可笑しくない願いを、兄様は通して、神を味方に引き入れた・・・兄様は約束を守った・・・代わりに別の世界に来た所為か知者の書が使えなくなった・・・ジェニーにも聞いたが、彼女もらしい・・・何か理由があるのだろうか・・・
・・・何を弱気になる事があるだろうか・・・先程まで、神々の攻撃をいつ受けても可笑しくない状況から、兄様が別世界の神の保護を成功させ、その脅威を排除させたのだ・・・きっと、神を味方につけた兄様なら、あの私達の世界に現れた神をきっと倒して、戻って来てくれる・・・そう、私は楽観視していた・・・
あの私達の世界に現れた神が、本来下級神と呼ばれる、下の方の神で、他にもたくさんいる事、それ以上の神の軍団が今保護を申し込んだ神々の世界と争っている事・・・そして、何より、私達の元居た世界の一番上の神が圧倒的な力を持っている事を私は知らなかった・・・
・・・そして・・・私が母上と訓練して日々を過ごしていた時、いきなり、この世界の一番上の神・・・創造神から、兄様の行方は、世界を守る為、自身を封印の楔となって、元居た世界の一番偉い神・・・絶対神を封じたという話を聞かされたのだった・・・だから、この世界に戻ってこれないという事も・・・
「何で・・・何で・・・何で・・・何で・・・」
私はベッドの上で、兄様がくれたぬいぐるみを抱きしめながら、涙を流す・・・どうして・・・何で・・・私は・・・何のために・・・・頑張って・・・・・
結局、鍛えていたことが無駄となり、何も出来なかった自分に腹が立ちながらも、もう、全てが手遅れだと、認識をして私は、ぬいぐるみをさらに抱きしめる・・・もはや、兄様を感じられるのは、このぬいぐるみだけなのだから・・・・
『少し良いか・・・?』
頭の中に、先程の創造神の声が聞こえる・・・何が神だ・・・兄様を救えなかったくせに・・・
「・・・・・・・・・」
『今回の事は本当にすまない・・・本来、我らだけで、解決しなければいけなかった事柄を・・・あやつ1人に押し付けてしまった・・・恨みたければ、恨んでおくれ・・・』
「・・・・・・・・・・・・・・」
・・・いまさらそんな事を言った所で・・・兄様は・・・戻ってこない・・・・
『・・・・ロイドから伝言を預かっておる・・・』
「えっ・・・・」
兄様から伝言・・・?その言葉に激しく動揺する・・・どうして、さっきはそんなこと言ってこなかったのに・・・・
『・・・ロイドが・・・妹のファルにもし、自分が何かあったら、伝えて欲しいと言ってきてな・・・他の者達については、何も言わなかったのに、妹・・・お主だけは最後まで心配だったのだろう・・・聞くか・・・・?』
「うん・・・」
私は一も二も無く頷いた・・・・兄様の最後の言葉、聞かないと言う選択肢は無い・・・すると、頭の中にある映像が流れた・・・この姿・・・兄様だ!!
久しぶりの兄様の姿・・・私はまたしても、涙が頬を伝ってくるのを止められない・・・
『ファルへ・・・この言葉を聞いているという事は、俺死んじゃったのか?まあ、いいや?とにかく、ファルが元気にしていれば・・・・』
・・・兄様が居なければ、元気何て出ませんよ・・・
『リイムから話は聞いていたんだが、元居た世界の絶対神という、神が何だか異常に強いらしく、創造神も自分から我以上の力を持っているとか言ってて、これから先、どうなるか解らないから、この言葉を残しておく・・・まあ、一番は生きて元の世界に戻る事だけど、無理だったみたいだな・・・まあ、とりあえず、俺の事は置いておく・・・・』
いや・・・置いておかないで下さい・・・その昔からの兄様のマイペースな話し方に、涙を流しながらも、笑いが少し零れる・・・
『あれから、ファルは元気にしているか?最後の別れの前、あれだけ泣いていたからずっと気になっててな・・・他の人達は大丈夫だろうけど、お前だけ心配でこの言葉を残した・・・』
他の人達も・・・表に出していなかっただけで、兄様の事、かなり心配していましたよ・・・・もう、心配も出来なくなってしまったけど・・・・
『・・・なあ、ファル・・・俺はこの世界を守る為なら、命をかけるつもりだ・・・だが、思うんだ・・・世界を守った後、この世界は本当に平和な世界になってくれるのかと・・・・人間達と魔族の溝、恐らくそれが無くならない限り、この世界は本当の意味で平和にならないと思うんだ・・・』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『本当はこの戦いが終わったら、自分でそのわだかまりを無くそうと動いてみようと思っていたんだが、俺もう、多分死んでいるんだろうからなあ・・・・だから、ファル・・・お前がやってくれないか?』
「・・・・!!」
兄様からの願い・・・初めての・・・いつも、兄様は一人で色々な事を解決していった・・・魔法の勉強、剣術・・・そして、今回の事・・・そんな中で最初で最後に兄様からお願いをされた・・・・
『この世界を平和にすることを・・・・本当なら、別な人・・・母上か父上、ジェニー辺りに言うんだろうけど・・・これは俺の勝手な願いだ・・・押し付けるものじゃないだろうし・・・ファルもやりたくなければやらなくてもいい・・・ただ、最後の話になるだろうから、つい言っただけだ・・・まあ、頭の隅にでも覚えてくれてくれると嬉しい・・・俺がそんな夢を持っていたってな・・・』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・兄様・・・・」
『じゃあな、とにかくもう、泣かないでくれ・・・俺自身、泣いているお前を見るより笑っている姿の方が俺は好きだ・・・!俺は帰れなかったが、この世界で幸せに生きてくれ・・・・』
「・・・・に・・い・・・さ・・・ま・・・」
『それじゃあ、身体には気を付けろよ!母上、父上のいう事はきちんと聞いてな!後・・・不幸何て笑って吹き飛ばせ!!な!!・・・泣いていると俺も悲しくなってくるからな!!・・・・・じゃあな!!』
『・・・以上だ・・・・』
「・・・・創造神様・・・私は貴方が兄様を救ってくれなかった事・・・その事に対して、許すことが出来ません・・・ただ、1つだけ、兄様の姿・・・映像だけだとしても、見ることが出来て、嬉しかったです・・・ありがとうございました・・・」
『・・・・本当にすまない・・・・・もし何かあれば・・・』
「それは良いです・・・自分達の世界位、自らの手で掴み取らなければ、兄様に笑われてしまいます・・・」
『・・・そうか・・・お主は・・・いやもしかしたら、お主らの世界の住民は強いんじゃな・・・我らの世界の住民も・・・そうなるよう・・・努力していこう・・・』
それだけを言うと、創造神の声が段々小さくなっていき、消えていった・・・・・そして、私は、自らの涙を服の袖で拭き取って、母上と父上の所に向かった・・・そうだ・・・歩みを止める訳にはいかない・・・兄様が私に残した使命があるのだから・・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます