世界の始まり
あの後、私達は自身の世界へと帰った・・・ナールとヴァエは自身の元国があった場所に帰っていった・・・その後、私は神卸の巫女として戻った時、彼女の国を優先的に支援をした・・・
彼女達の国は魔族達が占拠していたこともあり、住民は殆ど死んでおり、兵士に至っては全滅、王族は親族を含め、生きてはいなかった・・・だが、彼女達は諦めなかった・・・周りの魔物に、自身の村や街を壊された人達を集めて、少しずつ、復旧・・・1カ月で、村規模まで住民を増やしていった・・・・
それから、どんどん住民を増やしていき、街・・・そして、国規模までに戻すのに、十数年で彼女達はやってのけるのであった・・・・・・
そして、教会に戻った三人は・・・
―――――――――――――――――――――――――――――
「どうかなこれ・・・?」
「ああ・・・いいんじゃないか・・・?」
私達は今、結婚をしようとしている・・・この世界に帰ってきて・・・本当に様々な事をしてきた・・・魔族や魔物達に壊された国々や物流の復旧、死んだ人々の弔い・・・本当に色々して来た・・・・
そんな中で、一番の驚きは、ナールとヴァエが物凄い勢いで、自身の国を復旧しているという事だ・・・ほとんど、瓦礫しか無くて・・・骸だらけの場所だったのに・・・よく、盛り返している・・・・住民も少しづつ増えている様だ・・・・あれだけ、魔族が暴れていた所に、よく集まれるものだ・・・恐らく、ナールとヴァエの人柄もあるのだろう・・・
だが魔王退治で解決すると思っていた、魔物は結局、魔王を倒しても消えなかった・・・何でも、こちらの世界と魔界が繋がっている為に、魔界を消してしまうと、私達の世界も消えてしまうらしい・・・結果、魔界が存続していると魔物も同じように、存続し、生まれ続けてしまうと神の啓示で言われてしまった・・・・
けれど、今は神卸の力である程度解決できるようになっている・・・まあ、神は遠い未来、神卸の力無しに人間達だけの力で解決できるように考えているらしいが・・・それこそ、何百年、何千年・・・下手をすれば、万単位で計画しているらしい・・・・・・私達その時は生きていないよ・・・そんな事を考えていると・・・
「ねえ、私はどう・・・?」
「えっ・・・ああ・・・お前もいいんじゃないか・・・?」
「・・・それしか言えないのですか・・?」
ルウェールがそう言いながら、笑った・・・彼女も私と同じウェディングドレスで現れた・・・・今日は結婚式だ、私とルウェール、ルザーの3人で行う結婚式・・・・
魔界から帰ってきて、暫くして、少し落ち着いてきた後、ルウェールがルザーに告白をした・・・ルザーは私の警護に忙しいから、結婚はしないと断ったらしいが・・・ルウェールが・・・
「だったら、振り向いてくれるまで、アタックします・・・」
そう言い切ったらしい・・・何で知っているかって、ルウェールが私に直接、告白したことを言って来たのだ・・・
「負けませんから!!」
そうルウェールが言って来た、・・・だけど、私は、ルザーとルウェールが、幸せになってくれるのなら、それでいいと思い、身を引こうとした・・・・だけど・・・・
「・・・何で、涙が止まらないんだろう・・・・」
夜になるとその事を考え涙が止まらなくなっていた・・・その時に、私は・・・ルザーが好きなのを解った・・・・けれど、ルウェールと争うなんて・・・・
彼女は、私にとって、姉である存在であり、親友だ・・・そんな彼女を裏切れるわけが・・・・
「ルジャどうした・・・?」
そんな時に、ルザーにそう声をかけられた・・・私は思わず、全部話してしまった・・・ルウェールがルザーに告白をしたことを知っている事、ルザーが私の為に告白を断った事・・・そして、私がルザーの事を好きな事・・・・
「本気で言っているのか?!お前!!」
「本気!!」
思わず勢いで言ってしまった・・・神卸の巫女とその守り人・・・例え、元勇者と勇者の仲間だった間柄だと言っても、その、身分の差は変わらない・・・だけど、自分の気持ちを抑えきれなかった・・・・
「無理に決まって・・・・」
「無理じゃない!!」
「・・・・すまない・・・だけど、下手に動けば、お前の警護を続ける事すら出来なくなるかもしれない・・・それに、ルウェールの事も・・・俺は・・・お前とルウェールどちらかを決める何て・・・出来ない・・・・2人共、俺は大事な人だからな・・・」
「・・・・だったら・・・だったら、2人と結婚すればいいじゃない!!そうすれば、どちらかを決める必要性なんてない!!」
私は本気だった・・・ルウェールの気持ちを考えないなんて、私にはあり得なかった・・・だったら、私とルウェール・・・2人をもらってもらえばいい・・・
「・・・お前、自分が何を言っているのか?解っているのか?」
解っている、重婚はこの世界では認められていないことを・・・身分の差を覆すのが容易では無い事を・・・
「解っているわ!!そんなの私がどうにかしてみせる!!それとも、私達二人じゃ、不満?!」
「いや・・・そうでは無いが・・・取り合えず、落ち着いて・・・」
だけど、その時の私は、そんな事を考える事なんて出来ず、思いをぶつけるだけ、ぶつけていた・・・・
結局、私はルザーの静止を振り切り、私は動いた・・・自身の勇者としての功績を筆頭に神卸の世界への貢献の実績を引き合いに出し、話し合いの場を作り、自身とルウェール、そして、ルザーの婚約を認めようとした・・・
余りにも認めないから、最後は神卸をして、神の言葉を使ってでも認めさせた・・・神様、私の我儘を聞いて下さりありがとうございます・・・
「・・・・・・・」
「・・?どうしたのルザー・・・?」
「いや、あまり実感が湧かなくてな・・・結婚するんだよな・・・俺達・・・?」
「そうだよ?」
「・・・そうですね・・・」
「・・・・神様の公認付きで・・・」
うん、神卸をする際に、重婚を認めさせるように説得させてと言って、話し合いの場に呼び出したからね・・・・結構、神様ノリノリだったし、寧ろ・・・『褒美、本当にこれだけでよいのか?』とまで言って来たほどだったし・・・
「そうだよ?今更それを言うの?」
「・・・本当に信じられませんよね・・・」
2人共、心あらずみたいだけど、これから、結婚式本番なんだから、もうちょっとしゃっきとしてよ!!もう!!
その日の結婚式は教会を挙げて盛大に行われた・・・重婚という本来なら認められない結婚だったが、神が二人の結婚を認めると言う、神公認の結婚という事で、教会全体、いや街・・・国を挙げてのお祭り騒ぎになった・・・・そして、それから、さらに月日が流れた・・・・
――――――----------------------------------
「・・・本当に色々あったな・・・」
「・・・どうしたのルザー・・・?」
そう言って、ルジャは俺の手を握る・・・その手には皺が出来ている・・・当り前だ・・・それだけの年月が経ったのだから・・・2人共、かなりの歳になっていた・・・
「いや、昔の結婚式の事を少し思い出してな・・・お前、神卸をしてまで、周りに俺達の結婚を認めさせただろう・・・」
「・・・・いや、あれは、若気の至りで・・・・」
「・・・それで、神を使うって・・・本当に罰当たりだよなそれって・・・」
そう言って、俺は笑う・・・ルジャは少し、苦笑いをして頭を掻いた・・・そうだ、本当に色々あった、神卸での世直し、子供の誕生・・・2人共、5人ずつ生んだが、何であんなに女性は体力が・・・あんまり思い出さないでおこう・・・
そして、魔物の増加による、退治の依頼も増えて・・・色々廻ったりして・・・最後はルジャの神卸の巫女としての役目を自身の子供に継がせ・・・終わったんだったよな・・・・
今までの事が、走馬灯のように思い出す・・・本当に色々あった・・・辛いことも沢山あったが、その分、嬉しい事、楽しい事も沢山あった・・・・この3人で・・・・
「あら、あら、2人共、仲がいいわね・・・」
ルウェールがそう言い、お茶を持って近づいてくる・・・そうは言っても、お前も似たような事しているだろうに・・・・
「ルウェールがそれを言う・・?私が見ていないと思ってか、影でイチャイチャしているの知っているんだから!!」
「見えない様に努力しているじゃないですか!目の前で堂々とイチャイチャしているのが駄目なんです・・・第一、元神卸の巫女として・・・・」
2人が色々言い合っている・・・そう言えば、ナールとヴァエの二人の国は今では大国と言われるほど大きなっていたなあ・・・ほとんど、1から・・・いや、悪評が広まっていたから、マイナススタートだったのに、あの2人はすごい・・・魔界への旅路にもかなり助けてもらった部分があるし・・・本当に優秀なのだろう・・・
出来るだけ、あの国には支援をしてきたが、恩返しになっただろうか・・・・そんな事を考える・・・
「・・・私の方がルザーと愛し合っています!!」
「それは私です!!さっきだって、手を重ねて、談笑していたんだから!!」
・・・・・・なあ、お前ら、何か、さっきの話題から・・・論点が色々ズレていないか?ちょっと・・・待って・・・
「「ルザー!!私の方が(ルウェール)(ルジャ)より愛しているわよね!!」」
・・・・俺は二人に言い寄られ、空を見上げた・・・そこには、広々とした青空が広がっていた・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます