エピローグ
“彼”が夜空を飛ぶ中、私は泣いていた。
腕の中で生気が抜けたように泣く私は、嬉し涙ではない。
“サントが生きていた”事実は嬉しいはずなのに、今はただ虚無感だけが広がる。
「メル…」
バーゼルの姿をしたサントは、名前を呼んでおでこに優しくキスをしてくれる。
しかし、“バーゼル”としての彼と過ごした日々を想うと、涙が止まらなかった。
そして、彼が去り際に述べた
血と涙を交えて真実を追い求めたが、どれが真実の言葉だったのか――――そんな私達の記憶と力をめぐる旅は、まだ続くのである。
<完>
紅と蒼に紛れし真実の言葉 皆麻 兎 @mima16xasf
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