世界にとっての必要悪としての魔王の存在。これは斬新かと思いきや、タイトルは忘れましたが同じカクヨムのエタった作品にあったのを思い出しました。
パクリだ、と言っている訳ではなく、純粋にそれと比べて、同じネタでもこちらの方が完成度が高いと思った次第です(まあ、エタったのは論外なんだが)。
魔王、数多の作品の中で登場し勇者(多くは主人公)によって討ち滅ぼされてきた存在。古くは意味も無く世界征服を目論む舞台装置としての存在でしたが、最近では魔王の存在意義というか定義をしっかりと表現する作品が多くなりました。
その結果、主人公と和解し、人間と魔族で棲み分けるなんて展開が乱立してますが、本作品は必要悪としての魔王なので和解は難しい。それをどう料理するのか楽しみです。
魔王とは、神によって作り出された『装置』のひとつ。
人間の共通の敵として、『滅ぼされる』結末があらかじめ定められた存在である。
そうやって人類を繁栄させ、結束を高めるよう作られた。
至高の存在により、作られ続けた。
そして生まれ出たのが、現在の魔王アデル。
古びた居城に侍女のミリアと共に住んでいたのだが、世界の調和を取り戻すため、動き出す。
様々な仲間と出会うため。そして、自分の運命に従うために。
本作は現在も更新中で、現在はアデルが様々な仲間と出会っている所だ。
見所のひとつとして、『戦う女性』の描写が巧い。
凜々しい将校、忠実な女騎士、愛らしい侍女だってそりゃあもう、戦いますとも。
古代竜と戦う第13話からの戦闘描写は圧巻。
是非、ご覧あれ。
魔王という存在に新しい意味を付けたのがこの作品になります。
現実的で合理的。人間よりも正しい人のように見える。
人の世が乱れてるがため、人間の共通の敵になる宿命に従う魔王の物語を描いたものです。
設定も凝った作りにしてるのが見るだけで伝わります。
今のところ魔王が何をしたいのが、
人間がどう動くのが全く見えないのでストーリーの良さを把握しきれないのが残念です。
結末が決められた状態の主人公であるため、
その宿命通りの物語を辿るのなら待ってるのは悲しみだけでしょう。
無理に拗らせてハッピエンドにしても完成度が下がります。
魔王が目指すもの、人間が目指すものが何なのかによってこの物語の評価は劇的に変わります。
今後に期待したいと思います。