一度きりの切り取られた過去。人生の価値や意味について考えさせられる。

この作品は、短編ながら人生の選択と変化について考えさせられる深い話ですね。主人公のデコちゃんは、散髪屋で外見だけでなく、人格まで変わってしまうという不思議な体験をします。彼女は自分の望んだことだと思い込み、新しい人生を始めようとしますが、やがて家族や友人との繋がりを失った寂しさや、過去の自分を忘れられない苦しさに直面します。そして、散髪屋の主人も亡くなってしまい、彼女は二度と元に戻れないことを悟ります。
ここには読者をいつの間にか感情移入させる力があります。デコちゃんの気持ちや行動に共感したり、反省したり、励ましたりすることができます。

また、散髪屋の主人の言葉にも深い意味があります。人生は一度きりで、自分を変えたいと願うことは悪くないけれど、それには責任や代償が伴うことを教えてくれます。外見ではなく、心で生きることの大切さも伝えてくれます。

この作品は、感動的でありながらも切ない結末を持っています。デコちゃんは、自分の選択に後悔しながらも、前向きに生きようとする姿が印象的です。

しかし、彼女が幸せになれるかどうかは、読者に委ねられています。ここが素晴らしいポイントです。

この作品は、人生の価値や意味について考えさせられる作品です。

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