第1話

 地中海に面する小さな国『イタビア』。ここには10の民族が1人の独裁者によって統治されていた。

 1995年1月。その独裁者が亡くなった途端、今まで弾圧されていた恨みを持つ者たちが武力蜂起して内戦が勃発。同じ国民同士が宗教や肌の違いだけで区別されるようになり、その憎しみが殺意となって虐殺へと繋がっていった・・・。


 首都『ナビエボ』。ここにはイタビアの総人口200万人の内の50パーセント以上が住んでいる。故にここを支配した民族が事実上イタビアの実権を握ることになる。

 内戦初期から同国最大の民族『フミリ人』が主体の民兵1万人が首都圏を包囲。当時の政府軍は腐敗が横行しており、まともに戦える部隊は共和国防衛隊の2000人だけだった。しかし装備は大半が旧式で食料・弾薬の備蓄も僅か1か月分。兵士たちの士気も低下しておりこのままでは首都陥落も時間の問題だった。

 

 同年2月、国連は治安維持の名目でイタビアへの多国籍軍3万人の派遣を決定。その72時間以内には第一陣2000人が首都ナビエボ近郊にある同国唯一の国際空港『イタビアエアポート』に到着した。

 

 しかし、その時に悲劇が始まった。


 到着した多国籍軍の兵士が荷物を片付ける為に重機を運転していた時、運転席の窓ガラスが割れた。そして運転していた兵士は頭部を撃たれ即死。

 その直後から首都ナビエボはフミリ人民兵の迫撃砲や狙撃の雨が降り注いだ。

 その対象に政府軍、多国籍軍、武器を持たない市民など関係なかった。

 

 ナビエボにいる全ての人間が攻撃対象になった瞬間だった・・・。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る