水戦争 ~Water War~

不良将校

紛争

プロローグ

 2017年、11月29日 オランダ・ハーグ国際裁判所 


「裁判長!私は戦争犯罪人ではありません!私は無実だ!」

 老人は叫んだ。今から20年以上前の祖国の紛争における虐殺に関与した疑いで起訴され、たった今有罪を下された。英雄が国賊になった瞬間だった。

 「静粛に、座りなさい」

 裁判長が口頭で注意するが、老人は俯いたまま立ち尽くしている。

 「・・・くたばれ」

 突如、ズボンのポケットから何かを取り出して・・・


 「誰か来てくれ!被告が口から血を流してる!」

 「裁判は中断!医者を呼んでください!」


 その様子はインターネットの動画配信サイトで生中継されていた。世界中が注目した紛争の国際司法裁判、誰もがその結末をモニター越しで視聴していた。


 「・・・」

 フランスのとあるカフェ。テーブルに置いたスマートフォンからその様子を見ていた女性がいた。スーツ姿の背骨まで届く銀髪で薄い褐色肌。まるでスーパーモデルのようなスリムな体型で身長は180センチはある長身。しかし、その目つきはまるで狼のように鋭くて暗い・・・。

 

 彼女の正体は、20年前『スパロー』と恐れられたスナイパーで、


 先程裁判所で自決した老人『セルゲイ・ゴルチェフ』の・・・直属の部下だった。


 



 

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