終章

 宮殿に足音がこだまする。

 水が引いて行く。そればかりか、元の輝かしい宮殿の姿に戻っている。

「メル、時は満ちた」

 彼の声は愛しい銀髪の少女へと注がれる。

「どれだけ会いたかったか」

 魂の片割れと離れて生きていく地獄を、彼は味わった。

 もう、終わりだ。

 万人を魅了する歌を奏でる歌姫を起こすのは彼の使命。

「歌姫の願いが世界を救ったんだ。もうお役御免だろ?」

 彼は優しく銀髪の少女を抱き起したのだった。

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歌姫の願いは世界を救うか 七海 露万 @miyuking001

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