27ページ目 月 +1日
期待通りだった。
鍵束のうちの一つで、遂にあの地下一階の扉を開けることが出来たのだ!
扉を開けて現れたのは、薄汚れた白い通路だった。様々な太さのパイプが、左右の壁と天井を絡み合って這っている。
通路には豆電球ひとつの明かりも無かった。
入り口から漏れる図書館の科学のコーナーの明かりを頼りに進んでみたが、一分も歩かないうちにそれも途切れてしまった。
だが、先の見えない通路の先に、あのモーター音の源があることだけは確信している。
ごぉおおうん…というあの音が、真っ黒な闇の奥から確かに聞こえてきたからだ。
明日は明かりと本を持って、更に奥へと進もうと思う。
司書室と書かれた札のある部屋に、懐中電灯があったはずだ。
いよいよあのモーター音に近付くことができる。
三階の小説のコーナーの一角にある棚の八段目にあった本に書かれていた、遂に想い人をこの目で見ることができる主人公のような気持ちだ。
あの音の真下で、この建物の本を無限に読めるのなら、私は死んでも良いほど幸せだ。
明日も楽しみで仕方ない。
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